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★電飾キラキラの麻也王子→18-88
「麻也さん、起きれる? 12時なんだけど…」
せっかく 諒が起こしてくれたのに…いつもよりはマシなんだけど…起きられ…ない…
次に起こされると、起こしてくれたのは鈴木に代わっていた。
「…何時…? 」
「…1時…午後1時です…」
…そこで麻也はずるずると起きだして…昨夜のことを思い出して真っ青になったが、
それとなくあたりをうかがうと、諒に抜かりはなく、その痕跡は全く見当たらなかったのでほっとして、諒に心の中で感謝を捧げた。
今日の麻也の予定は、いつしかツアーのリハーサルだけになっている。
テレビのバラエティ番組は麻也だけが抜けたと分からないように、諒一人で行ったのかもしれなかった。
本当は礼を言うべきなのだろうが、スタジオで合流すると、
麻也は諒に話しかけるのがなんとなく気が引けて何も言えなかった。
しかし、諒は背後からしがみついてきて、
「麻也さん、今日は何時に起きれたの? 」
「おかげさまで1時。ありがとね、諒。」
そう言ったところで、エンジニアの準備が終わったらしく、真樹が、
「ゲネプロまであと一週間! 今日からバンバン動いてヤバいところをさらにチェックしましょう! 」
と大きな声で言い、そして麻也には耳元で、
「兄貴もどのくらい動けるのか皆に見せて。無理のない程度で。」
「うん、わかった…って、何盗み聞きしてるの!」
兄弟二人も、怒られた諒の方も笑いながら追いかけっこになって、
みんなのひんしゅくをかった…
麻也の調子は少し良くなってきていたのかもしれない。
まあ全くの健康体ではなかったが、午後になれば、一応起き上がり、
スタジオではいつも通りギターを弾くことも出来るようになっていた。
しかし、諒の顔には、ツアーが心配だと書いてあるわけで…
そして鈴木から聞いたのだが、詳しくを知らない諒は「病院を変えたら」と、
しきりに鈴木に言っていたという。
麻也さんは頑固だから、とも。
それでも、いよいよゲネプロの日になり、みんなで実際のセットの組まれたステージに立つと、
諒もいつもの鷹揚なロックの王子になり、麻也への接し方の中にも、
麻也にしかわからない冷たさは影をひそめた。
「やっぱり、今回もこれ作って良かったね。」
ステージの上では、前のツアーから登場した、流麗な英書体の、
<DestinyUnderGround>
の巨大な電飾が、美しくも力強く輝き始め、メンバー4人はそれを幸せな気持ちで眺めていた。
それは、あたかもバンドの勢いを裏打ちしているようだったが…
「あれはカッコいいけど、やっぱ暑いね…」
真樹が言うのは、ライブの時に、まばゆいライトのためにステージ上が暑くなることだった。
売れたからこそのこのライトの数なのにそんなわがままを口にするのは…と苦労人王子の麻也がたしなめるより早く直人が、
Γそうだね、いつも思うけどNASAか何か開発の、めちゃ汗かいても涼しい素材とかの衣装ってできないのかなあ。」
Γ説得力ねえな~」
みんなで大笑いしたのは、その時直人が黒のタンクトップ姿で、
ライブではいつも上半身は裸になってしまうだからだった...
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