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第13章の89
口をきいてくれただけ進歩だと思い、諒は、
「ごめん。俺がキレたのは、具合の悪い麻也さんの帰りが遅かったからだと思う。
相談受けてたんだろうけど、麻也さん、自分の体のことも考えてよ。
俺、ほんとに愛してるから心配なんだよ。」
昔の自分に重なるんだろうけど、という言葉は避けた。
すると麻也は壁の方を向いたまま、だるそうに、
「…わかった…」
そうときたら、と諒は、
「…ところで麻也さん、服脱ぐの手伝おうか? 」
「パジャマ着る元気ない…」
「じゃあ、服脱ぐだけ脱ごう。
あとは俺がギュって朝まで人肌であたためるから。
下心ゼロ。あるのは愛だけ。」
「…じゃあそれでお願い…」
吹き出す元気もないらしい麻也は、
ようやく諒を見ると、毛布をまとったままベッドの上に仰向けになった。
諒は、再び無表情の恋人から、手早く服を脱がせ始めた…
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