740 / 1053

第13章の89

口をきいてくれただけ進歩だと思い、諒は、 「ごめん。俺がキレたのは、具合の悪い麻也さんの帰りが遅かったからだと思う。 相談受けてたんだろうけど、麻也さん、自分の体のことも考えてよ。 俺、ほんとに愛してるから心配なんだよ。」 昔の自分に重なるんだろうけど、という言葉は避けた。  すると麻也は壁の方を向いたまま、だるそうに、 「…わかった…」 そうときたら、と諒は、 「…ところで麻也さん、服脱ぐの手伝おうか? 」 「パジャマ着る元気ない…」 「じゃあ、服脱ぐだけ脱ごう。 あとは俺がギュって朝まで人肌であたためるから。 下心ゼロ。あるのは愛だけ。」 「…じゃあそれでお願い…」 吹き出す元気もないらしい麻也は、 ようやく諒を見ると、毛布をまとったままベッドの上に仰向けになった。 諒は、再び無表情の恋人から、手早く服を脱がせ始めた…

ともだちにシェアしよう!