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第13章の88
多分、麻也も眠れてはいないだろう…
でも、念のため、諒はノックせずにドアを開けた。
室内はさっきと何にも変わってはいなかった。
麻也は背を向けたまま。
部屋の電気はついたまま…
が、諒は穏やかに
「…麻也さん、俺、思ったんだけど…」
「…」
「レコーディングの間は休戦しない?
ほら、戦争でもクリスマス停戦とかあるじゃない? 」
とは言いながらも、いざ言葉にしてみると、
これが何もいい方法ではないことに気づいた。
ただ根本にふたをしてしまうだけ…
それに仕事のためというなら、ずっと無限の期間になる…
麻也は壁の方を向いたまま、
「休戦も何も、さっきまた仕掛けたのは諒の方じゃんよ。
朝は休戦したくせに。」
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