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第12話

で……何を話せはいいのやら。。 そんな俺に気がついたのか、小さく 「すいません。なんか変なこと聞かせちゃって」あやまってきた。 「いやいや。そんな事ないよ。」 ……本当に、そう思う。もう、何年も恋らしいことをしてない。仕事が楽しくなってきたし、そんな思いはしばらく遠退いていた。 だからか、純粋にこの「コイバナ」が羨ましくもあった。 「恋愛は自由だから」もっともらしい言葉を発したけど……正しいかはわからない。 そのまま無言で食事を済ませた。 「じゃそろそろ」と会計をしようとしたら 「これ。」とお金をだして、「母に頼まれました。自分たちのぶんは払ってこいって」 「なんだ。最初から帰る気だったの。。。」 「……いや。……はい。長居はしない。って言われました。」そんな事をいわれた。 ……いいのに。 でも受け取らないと彼はどうなるんだろう? 暴力は振るわれないだろうが……雷が飛んでくるのかな。そんな事を考えてたら自然と笑いが 込み上げて、顔がニヤける。 「何笑ってるんすか?」 「……いや。なんでもないよ。じゃこれは一応預かっておくよ。」そのままポケットに。 「美味しいかったー。どうでした。料理?」 「美味しいかったよ。」 「でしょ?でもあそこ。内緒なんで。教えないでくださいね。」 「そっかーじゃもうあそこで食べられないのか。」こんなふうに歩いてると同僚みたいにみえるだろうか?気軽さに口が少しまろやかになる。 「えっ。いや。そんな……」思いもよらない方向にとったらしく。急にシドロモドロになって顔か赤くなる。 「なんだよ。へんなふうにとるなよ。また、行こうぜ。な。」 俺としてはごく自然に言ったつもりだったけど。。。いちいち赤くなる隣のやつは。。。 なんとも。。 いやはや。。。 不思議な感じを覚えた。

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