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第33話
「んっ、は……っ、りょ……っ」
考える余地もなくどんどんと快感が送られてくる。うつぶせにされて腰を持ち上げられた状態で背中にキスを落とされながら前に触れられている。
イけないギリギリのラインを攻めるような強弱で涼介の指に翻弄されていた。さっき一度吐精したから余裕があるのかないのか泉の半身は射精感の波が寄せては引いて、と交互にくる。背中に唇が触れるだけでも背筋が痺れて感じ入ってしまう。
「――泉くん」
とっくに脱がされたズボンも下着。剥き出しになった素肌、双丘に涼介が手を這わせた。
「男同士のやり方、調べた?」
掌がなでて、割れ目へと沿い、窄まりに近い場所に触れられる。
涼介の問いと、その手に動き両方に泉の心臓が跳ね上がった。
「……た」
「で、どう思った? どっちがいいって思った? 挿れるほう? 挿れられるほう?」
泉は固まった。
スマホで検索した男同士のこと。ぼんやりとした知識が明確になり、アダルトサイトでゲイビデオのサンプルを見て。男女のAVのときにはなかった衝撃を受けて。
「……え、俺は……」
考えもしなかった、とは言い切れない。
男同士が絡みを見て、勝手に考えてしまったのは一貴と泉自身が……。
「俺は泉くんに挿れたいな」
泉がそのときのことを思い出していると、涼介が言いながら硬いものをこすりつけてきた。先端がぬるりと割れ目を撫でていく。
「……っ、わ」
思わず腰が抜けて、驚きに涼介を振り向く。間髪入れずのしかかってきた涼介に唇を吸われた。
「大丈夫。俺、うまいって言われるから」
「へ……、え」
うまい、とか、そういうことなのか?
心臓が一段と速く鼓動を打っている。正気に戻りそうで戻れない。涼介の指が後孔に触れてくるからだ。
そんなところに、と、怖い、と――好奇心に似たものがわく。
「まぁでも俺も鬼じゃないし、まじで無理そうだったら言ってみて。このまま突っ込むわけじゃないし、ね?」
屈託なく見える笑顔。だけど逃げれない、と思わせる雰囲気を醸し出していて泉が息を飲んでいると、はい、と身体を反転させられた。
またうつぶせにされて腰を持ち上げられ、少しして冷たいものが落ちてきた。
「ひゃ?! な、な?」
「ローション。ちゃんとほぐさないとね」
「……っ、ちょ、え……、っあ」
窄まりに液体と涼介の指が触れ、ほんの少し入り込んできた。
指がゆっくりと中を確かめるように侵入してくる。初めての感触。自分でも触れることのない場所に涼介の指が触れている。
泉はパニックになりながら違和感と圧迫感に身体を震わせた。
「……っ」
「息、してね」
い、息はしてる。早くはなっているが。
ハッハッ、と泉が身体を強張らせて浅い呼吸を繰り返してると泉のモノが握られた。
「ひゃっ」
後孔に異物がうまっている初めての感覚と、半身を擦られ生まれるはっきりとした快感。
「んんっ」
指1本が挿入されてその違和を散らすようにリズムよく涼介の手が泉の半身を愛撫する。
「大丈夫?」
「……っ、は……」
大丈夫じゃない。どうして涼介に指を突っ込まれているんだろうと現状が理解できない。
ただ返事をする余裕はゼロで泉は首を振るように頭をシーツに擦りつけた。
「まあ、大丈夫そうかな」
「む、りっ」
「そう? でも萎えてないし、ね」
「あっ……」
半身の先端に軽く爪を立てられる。痛いほどではないその刺激に息を飲んでいたら、後孔からゆっくりと指が引き抜かれていく。
じわじわと、ぞわり、と悪寒に近いものがそこから背へと這い上がってくる。
「りょ、涼介さん……っ」
「うん」
「あ、あの……っ、う、っあ」
泉の呼びかけを聞いているのかいないのか、生返事だけあって指をまた挿れては出すを繰り返していく。もちろん泉のモノへの刺激は継続したまま。
「りょ……っ」
もう一度呼ぼうとしたとき、ちょうど涼介が指の動きを変えた。ただの出し入れだけじゃなく、ぐるりと円を描くように動き、内側を擦りあげてくる。
「んっ、ふ、ぁ」
ぞわぞわ、と、悪寒に似た、疼くような感覚に身体が大きく震えた。
「泉くんさ、イケるかもね」
泉の背後にいるからその表情は見えないが、声音は相変わらず楽しそうだ。
「な、なに……」
「後ろ、弄られるの嫌じゃないよね。気持ちよくなってきた? こっちもすげぇ濡れてきたしね」
気持ちいいかどうかなんて考えることもできないでいた泉だが、ぬるぬると先走りをすくわれ悪戯げに半身を上下されて充分熱くなっていた身体が羞恥でさらに赤くなる。
「じゃあもう一本、指増やすね」
「……へっ、あ……っ」
もう一本!? どこに!?
流石に驚いて後ろを振り向こうとしたら緩み始めた後孔に指が一本、そしてさらにもう一本追加されて泉の意識はその二本の指に持っていかれた。
***
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