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エピローグ
階段を一歩また一歩上る
落書が酷く、ところどころにヒビが入っている
懐かしい風景に口元が緩む
その先にあった重たい鉄扉を開く
いつも彼がしていたこと
今日は僕の役目になった
夕暮れ時、彼はそこに立っていた
あの日の自分と同じように、眩しい夕日を背負って
何年待たせたのだろうか、彼は変わらず私を愛してくれるだろうか
少しの不安、多大な期待を抱えて彼の元へかけよる
「待ってたぞ、っつてもあそこを模しただけの場所だけどな。」
恥ずかしそうにあの頃と変わらぬ姿で、笑う
無条件に広げられた両腕
彼との距離は1メートル、昔の姿に戻った僕はあの頃と同じようにその胸に飛び込んだ
目端から涙が零れる
抱きしめられた体が暖かい、愛おしくてきつく、きつく抱きしめる
抱きしめ返される熱
あの時君が残した言葉を憶えているから
「君が言ったんだ、話を聞かせてくれって」
今度はいっぱい話そう、期限はない
永遠の至福の時間を
この屋上で
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