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第6話

沢山話もでき、食事を終える頃かなと思っていた時… 「ちょっとトイレ行くね!待ってて」 鈴木がトイレに行くと言ったので、その間俺は携帯をいじったりして時間を潰し待っていた。そして彼がトイレから戻ってきたので、お会計するためレジに行くと… 「お客様?もう代金は頂いてますよ?あちらの方から…。」 と、店員さんに言われ俺は固まった。 「えっ?」 「渡辺くん?なにしてんの?行くよ!」 「え、鈴木ィ、お金ぇ…」 鈴木はトイレに行くと言ってお金払ってたんだな!なんだよこの可憐な技!ショックやら申し訳なさ、そしてかっこいいなとか思ってしまった事が悔しい!言葉にせず、代わりに鈴木を睨んで最大限に不機嫌を表現してみた。 「もう払ったよ?…クスクス…怒らないで?」 「ここは俺がっ!…た、助けてもらったのに。」 くっそぉー!鈴木が男前すぎて情けない。 「でも俺はその気持ちだけで嬉しいから。あ…」 「え?…なに?」 やっぱり払ってほしいんだな!! 「んと、お願いがあるんだ。」 「え、何?簡単なお願いなら…」 彼が凄く真剣な顔で…何を言うのかと思えば… 「これからもちゃんとご飯食べてくれっよ!」 「は?…あ、うん?わかった。」 そんな事がお願いなのかと、チラッと鈴木の顔を見たら凄く笑っていて… 「ねぇ、今度またご飯食べに行こうね!」 と、誘ってくれた。 「そうだな!その時は必ず俺が奢る!出すなよ!」 「んふふ。今日はとても楽しかったぁー。」 スルーかよっ! 「ちょ、聞いてんの?」 俺があたふたしてると 「ありがとう」 と言って笑いかけてくれた。なんだか急にドキッとしてしまって…俺はこの後鈴木の顔をあんまり見れないまま、家に帰ったのだった。

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