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第8話
翌朝____
俺は大学で急遽空いたコマが出来たため、大学の中庭のベンチでさっき購入したパンを早めのお昼ご飯として食べていた。
すると後ろから…
「だーれだっ!」
不意に後ろから目隠しをされて驚いた俺は
「うわあああぁぁぁ!」
って…大きな声で叫んでしまった。
「えぇっ!?そ、そんなに驚くなんて。ごめんね?」
後ろから顔を覗き込んできたのは鈴木だった。
「…おっ、俺心臓が口からが出そう…」
本当にびっくりした!周りに居るやつらも、俺の大きな声に、なんだ?なんだ?とこちらの様子を見ている。とても恥ずかしくなってきた…。
「渡辺くん?それは昼ごはん?」
鈴木は隣に座って、あの爽やかな笑顔で聞いてきた。俺はそうだよとパンをかじりながら頷くと、鈴木は驚いた顔でこっちを見た。
「…パンって。ちゃんと食べる約束!」
あっ…やばい。そうだよな、貧血で倒れた俺を助けてくれたのに俺自身がしっかり体調管理してないんじゃ、呆れるよな。
「あ。ごめん空いた時間暇だったからつい、いつもみたいに適当にパンを…」
と言いかけてハッとした。でも遅かった…
「え?いつもこうだったの?…渡辺くん。」
あちゃー。
「……今日の夜ご飯俺ん家に食べにくる?俺も一人暮らししてるんだけど。」
えっ!?何それ!めっちゃ楽しそう!俺は即答で「行きたい!」と答えた。でもバイトがある事を思い出して盛大に落ち込んだ。
「あっ!!そう言えば…今日はバイトだったああぁぁ」
「あはは。残念だなぁ。うーん、じゃあ明日は?俺はちゃんと渡辺くんにご飯食べてもらうよ!あ、そうだ、ゲームもしよーよ!」
物凄く落ち込む俺だけど、楽しそうに話す鈴木を見ていると元気が出て、明日が楽しみで仕方がなくなってきた。
「うーわ!ショック…ゲームもやりたかった…だけどバイト頑張るわ!」
今日のバイト頑張るぞと、張り切って言った俺に鈴木は
「ふーん、渡辺くんはゲーム目当てかぁー。」
と、ちょっと拗ねたようだった。
「えっ、違くて!ゲームもっ…もだから!鈴木と遊べるからだしさ!」
そう言うと彼は嬉しそうに「そっか」とだけ答えた。
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