古(いにしえ)より突然失踪してしまうことを神隠しだと人は言った 或いは天狗攫いなんて呼び方もある 文字通り天狗が幼い子供を拐うのだ そして忽然と戻って来たと思ったら子供は皆一様に天狗と空を飛んだなどと言ったそうだ ｢こんなところで一人で何をしている？｣ 後ろから声をかけらた金色の髪をした幼い男の子 振り返るとそこには銀色の長い髪をなびかせた美しく 異様な雰囲気を漂わせた男が立っていた ｢だぁれ？｣ 少年が質問をすると ｢そうだな私は…｣ そう言うと男の背中から漆黒の翼が生えふわふわと 羽が舞い散る ｢私は天狗 一緒に空を飛んでみないか？｣ 自分を天狗だと言う男が少年に手を差し出すと少年は迷わずその手を取った…… そして天狗は少年を抱きかかえ空を舞った