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第21話

「準備はどうだ?朔」 「出来ました」 今日は婚礼の義。あの日から数日お披露目会と言う名目で谷の人々に紹介されることになった。 谷の人々は気がよくいい人が多く商店の人々とは既に顔見知りだ 「イザヤさま!」 あちらこちらから彼を呼ぶ声が木霊する。誰からも愛されるイザヤさん。今は漆黒の羽。だけれど純白の羽を持ったイザヤさんもさぞ美しかったのだろう… 「お待たせしました」 部屋を出るとイザヤさんが息を飲んだ 「どこか…可笑しいですか?」 「いや…美しすぎて見惚れてしまったよ」 「ありがとうございます。貴方もいつも以上に素敵です」 二人で微笑み合うとふわりと白い羽が舞い落ちた 「お似合いなお二人だね」 「ミカさん!」 俺たちをここまで導いてくれた大天使さま。 「朔さん。イザヤの本来の姿みたくない?」 「見てみたいです」 「ふふ。そうかなって思って呪いを施してきたよ。はい。イザヤ。これ付けてみて」 ミカさんが手にしていたのは白銀のブレスレットだった。凝った装飾がされていてとても綺麗だ 「これを?だが谷の皆は…」 「たから。お披露目の前に今ここで見せてあげたら?俺からのプレゼントだよ」 「見たいのか?朔」 「見てみたいです!!今のお姿も凄く好きだけど違う雰囲気の貴方も見てみたい」 「朔がそういうのなら…」 装着すると目映い光に包まれた。眩しすぎて直視はできなくて。ゆっくりと光が和らぎ目を開けると… 「…綺麗…」 目の前に居たはずの愛しい人は俺の知る姿は消え失せて… 大きな純白の羽を背負い髪や瞳の色も変化した。 「キラキラ…」 「久しぶりにこの姿になったが…何だか落ち着かないものだな。」 「…」 「朔?…こちらの姿の方がいいのか?」 「…いいえ。俺はいつもの貴方がいい。なんだかキラキラして…落ち着きません。どちらの姿も好きですが…」 「では、たまにはこの姿になりお前を愛そう…いつもと違うから燃えるかもしれないしな。お前が」 「もう!イザヤさんったら…ふふふ…」 「やはりお前には笑顔が似合う…さぁ。行こうか。皆の元へ」 盛大に開かれたパーティー。多くの人と話して踊って食事をとって…あぁ…とても俺は幸せだ… 残された皆には申し訳ない気持ちはあるが…もう俺は…戻れない…ごめんね… いつか…皆が救われるよう俺は祈ることしかできない… 「朔…またお前は皆を思っていたのだな…」 「…わかってしまいますか?」 「あぁ…わかるさ…いつかあの世界が…また光が満ちるよう…俺も共に願おう…」 「ありがとうございます」 イザヤさんは俺を抱き寄せ啄むようなキスをした。 その姿に谷の皆は歓喜し舞い踊る…

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