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IV

その夜――。 「あの、お師匠様……」 「うん?」 「何故僕のベッドに無断侵入してきてるんですか。部屋は別々がいいって言ったの、お師匠様の方ですよね?」 いくら押し掛け女房とはいえ、未成年(と思っていた)相手に何か間違いを起こしたらいけないと思ったクソ真面目なノーマは、わざわざ魔法で部屋を増築してアデルに与えたのだった。 ちなみにこの国では成人は18からである。 「え、だって18歳なら手を出しても構わないかなーと思って……俺たち、一応夫婦だし」 「昼間はうじうじと草食系男子ぶってるくせに、何夜は肉食化してるんですか」 「しょーがないじゃん!これでも男なんだからさぁぁ!!」 「僕も男ですけどね」 やはりお嫁さんというのはただノーマを喜ばすためだけの自称で、実際にそういうことをするのはお断りということなのか――。 (魔法も使えないし家事も全くできないしエッチもしてくんないんなら、なんでこの家に居るんだよぉぉ!!) そう思っていても面と言えないノーマは、すごすごとアデルのベッドから降りた。 「あの、なんで降りるんですか?」 「いいよもう……俺にはTE〇GAという使い魔よりも断然優しい相棒がいるから、そいつに慰めてもらうよ……」 「はあ!?」 アデルはキレたような声を出すとノーマの手を引っ張り、後ろからベッドに倒れさせた。その衝撃で、ベッドが軋む。 いきなりのことにノーマは目を白黒させて、仰向けに倒れた自分の上に乗ってきたアデルを見返した。 「えっ……えっ!?」 「なんで僕がいるのに、わざわざオナホに慰めて貰おうとしてるんですか!!」 アデルは元王子なのに、何故オナホという物の存在を知っているのだろうか……まあ、それは一先ず置いておくとして。 「え、だってきみ、俺とセックスするの嫌なんだろう……?」 「誰がいつそんなこと言いました?」 「僕も男ですって言ったし……それにすっごい嫌そうな顔もしてたし……」 そんなの当たり前だよなと思い、ノーマはしゅんとしてしまった。 せめて少しでも女性に騒がれるような容姿だったなら――それなら魔法使いになんてなってないか、と思った。 「ああもう……照れたんですよ!初夜なんだから当たり前でしょう!?それくらい察してくださいよ!歳上なんだから!」 「えっ……」 「大体肉食化するなら無理矢理襲ってこいってんですよ!!なんでそこで草食に戻るんですか!?まじ意味わかんなっ……わっ!?ムグッ……!」 いきなりノーマに身体をひっくり返され、逆に上に乗っかられた。俗にいう形勢逆転というやつである。 その上掌で口元を押えつけられ、アデルは言葉を封じられた。 「!?」 「……ねぇそれって、俺とヤッてもいいってこと……?」 「むぐぐっ!(言わすな!)」 アデルはノーマを見つめながら目を潤ませ、頬は真っ赤に染めあげている。 中性的な美少年が、悪態をつきながらも涙目で自分を受け入れようとしている――。 その事実に、ギャルゲーの類でもツンデレ属性が大好きなノーマ(29歳童貞、職業:魔法使い)の性欲は火山の噴火の如く爆発した。

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