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第1話
「御身が穢れ、この身にて浄化し奉る……」
細いその身体を寝台に押し付けた時、小さな声で告げられた。
「なに?」
「積もった欲は穢れなりけり。解き放つ穢れをこの身に承り、浄化いたし候」
寝台の上に広がった髪。
老人のような、元から色のないのが恐ろしい色だと、老師たちがその姿を目にするたびに魔除けの印を結ぶ色。
けれど艶やかで美しい髪。
「違う、儀式じゃない……」
「ダメ。言わせて」
「あいつらと同じにしないでくれ。儀式じゃない、あなたを欲のはけ口にしているわけでは……」
「……それでも。言わせて。お願い」
赤い目が涙を浮かべてひたとこちらに留められる。
白くて細い身体が、震える。
そっと指で頬を撫でられた。
「御身が穢れ、この身にて浄化し奉る……」
白い髪、白い肌、赤い瞳。
元から色を持たない異形の人。
「積もった欲は穢れなりけり。解き放つ穢れをこの身に承り、浄化いたし候」
「どうして……」
「あなた様を、思うております……」
一層細く、囁くよりも小さな声で、告げられた。
「みこさまを、お慕いしております。」
“みこ”は、あなただ。
あなたなのに……!!
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