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第2話

その身体を抱きしめる。 慣れた手つきで衣をはぎ取られて、眉間に皺がよる。 ためらうように止まった手を取って、口付けた。 「今、自分に力がないのが悔しい」 「では、力をつけてくださいませ。穢れを落としたなら、あなたは何者にも負けぬほど、神に愛された尊い身……」 睦ごとは、耳をすませなければ聞き落としてしまいそうなほど小さな声なのに、“みこ”としての声は細くともよく通る。 まるで誰かに聞かせようとしているかのようだ。 「抱いてくださりませ……御身の穢れを、どうぞこの身に……」 「みこさま……」 「みこさま。どうぞこの身を、あなたの好きにしてくださりませ……」 白いその肌に指を這わせる。 衣でも髪でも隠せないところに口づけ、淡い華を咲かせる。 胸にある淡い色の蕾は、触る前から凝っている。 行為に慣れきった身体。 舌で表面を撫で、指で摘み、やわやわと歯をたてる。 仰向けのままできるだけ反応をしないようにしているのが、歯がゆい。 部屋に準備されていた膏薬を、当然のように渡されるのが、悲しい。 息は荒くなっていくのに、声は零れてこない。 気持ちはささくれ立っていくのに。 自分の行いがあなたのこの身体を熱くさせていると思うと、優しくしてやりたいとも思う。 己の指に膏薬をとり、普段は誰も触れることのない場所へと塗りこめる。 衣擦れの音と互いの呼吸音。 聞こえるのはそれだけ。 しつこいほどに胸の蕾を愛で、最奥に膏薬を塗りこんだ。 差し込んだ指がゆるゆると自由に動かせるようになって、そこに熱源を埋め込む。 『積もった欲は穢れなりけり。解き放つ穢れをこの身に承り、浄化いたし候』 この身に籠った熱は、あなたのためのものなのに、あなたはそれを穢れと呼ぶのか。 あなたを思っての熱なのに。 「あっあ…あ…あ…あっあ…」 奥を突くように腰を動かすと、反射で声が上がった。 感じているらしいのに、感極まった声が聞こえない。 人形のように与えられるものへの反応だけしか、見せない。 それでも、アツくなるのだ。 この気持ちはあなたへのもの。 あなたを思ってのもの。 やっとこの腕の中にあなたを抱くことができたのに、どうして冷めてなどいられようか。 ムキになって腰を揺らす私の頬を、細い指が撫でる。 「あ……ああ、あ……」 「みこさま……みこさま……っく……」

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