2 / 2
第2話
真っ赤になって呆然としていると、長い舌が潜り込んでくる。歯列をなぞり、舌を絡める。くちゅりと唾液が混じる音が聞こえた。
「キスは久々か?」
「え? ……あ、ぅ、初めて……」
「……そうか」
タイガは破顔すると、小太郎を抱え上げて寝台まで運ぶ。
マットレスの上にマントを敷くと、その上に小太郎を寝かせた。
「え? ぅえ?」
「少し汚いけど我慢してくれ。マットレスがまだ使えて助かったな」
ギシリとタイガが覆いかぶさると、再びくちづけが落とされる。
魔法のように素早く衣服を剥ぎ取られ、小太郎は全裸になる。キスだけでギンギンに勃起したペニスが、タイガの腹部にあたった。
先走りがタイガの服にくっつき糸を引いた。
「……凄いな」
「み、見んなって…!」
タイガも服を脱ぐ。ぼんやりとした月明かりに照らされて見事な身体がそこに現れる。鍛え抜かれた筋肉。戦うための身体だ。
いくつもついた傷跡はタイガの生き様であり……芸術品のように美しかった。
(タイガも勃起してくれてる)
自分にでも欲情してくれているのが嬉しかった。
ずっとタイガとセックスしたかった。
身体だけでも手に入れたかった。
自分だけが都合のいい夢をみているようで何処か現実味がわかない。
(つか、何でこんなことになってんだ?)
「どうした? やっぱりやめるか?」
「いや、綺麗な身体だなって……ここで俺が嫌だって言って、チンコそんなんにしてるのに止められんの?」
「……今ならやめられるぞ」
妄想で何度貫かれたかわからないタイガのちんこがそこにある。そう思うと居ても立ってもいられず、逆に押し倒した。馬乗りになるように腹筋の上に手を置く。
「俺はもうやめるなんて、無理」
ばきばき割れた腹筋。俺は鍛えてもこうはならなかった。心底羨ましい。
そろりと手のひらを下に移動し、立ち上がったペニスを両手で包み込む。俺の手首ぐらいある巨根にごくりと喉がなる。想像よりも遥かにでかくて熱い。
これ、ちゃんとはいっかな……。
ぴくぴくと反応している。可愛い。こんなグロテスクなものに可愛いとかマジ愛だよな。
ゆっくりと幹をシゴく。感じる部分を探しながら注意深くタイガを見上げた。
「は……気持ちいいよ」
ずりずりと移動して顔を近づけ、鈴口に舌を差し込む。少しだけ苦い。唾液を垂らして全体にまぶし、亀頭を丹念に舐め上げて行く。
愛しい愛しいタイガのペニスをしゃぶっている。この巨根が自分の穴にもうすぐ埋まるかと思うと想像だけで射精しそうだった。なんとか我慢しながら口にペニスを頬張る。
でかすぎて顎が外れそうだが頑張って顔を上下する。
裏筋に舌を這わせ、べろべろとしゃぶる。喉の奥まで使ってじゅぷじゅぷと音を立てながら必死にフェラしているとタイガの大きな手で頭を撫でられた。やばい俺のほうがイキそう。
徐々に早く動きながら夢中で舐めまわした。
「あー……クソ、…っ。出そうだから……離せ」
(モチロン離すわけないよなー)
シゴく速度をあげて、思いきり盛大にしゃぶる。焦ったタイガが静止の声をあげるも、逆に思い切り吸い付いてやった。
「……くっ…」
苦しそうに顔をしかめた後、口内に大量の精液が発射された。
びくびくと何度もペニスが口の中で跳ねる。
よほど溜めていたのか、嚥下しきれない精液とよだれが口のまわりに溢れてぼたぼたと落ちていった。
(タイガのイキ顔見ながら俺も軽くイッちまった)
垂れた精液がもったいないとぺろぺろと舐めとる。それを困った子を見る様にタイガが見ている。やりすぎた、かな?
「……たいがの美味しかった、よ」
「飲まんでよろしい。だいぶ溜め込んでたから濃かったかもな。大丈夫か? んっ、今度は俺がコタローを可愛がりたいんだが」
「……駄目」
「断る」
ぐいと太い腕が回され膝の上に乗せられる。タイガの指が既に尖っっている乳首に触れると痺れるような快感が広がった。男にしてはぷっくりとした乳首を執拗に弄られて身体が跳ねる。
(乳首も自分で開発するんじゃなかったああああやべぇタイガにされてると思うといつも以上に気持ちよ過ぎて頭ぶっとぶ)
「あぁぁ、離なし、あっ、うぁ」
「えろい乳首……凄くコリコリしててうまそうだ」
今舐められたら確実にイく!慌てて身を引こうとしたが片手でガッチリと腰をホールドされている。胸元に唇を寄せられ、あっさりと吸い付かれた。
「あ、あ、あっ、あッ……っぅ‼」
小太郎の身体が大袈裟なぐらいビクビクとしなり、タイガの腹当たりに精液を撒き散らした。
(早漏ってレベルじゃねぇ……!)
「乳首だけでいったのか。敏感だな。可愛いよコタロー。くく……さっきのお返しができたな」
子供の様に笑うタイガを見て、胸が一段と高鳴る。タイガと一緒にいると胸が高鳴ってばかりだ。早死にしそうな幸せの高鳴りを受け止めつつ、胸や腹に散らばった精液を指ですくい取る。
そのまま後ろに手を回し、それを己の尻穴に塗り込めた。
タイガの上半身に寄りかかりながら受け入れる準備をする。最近してなかったせいか狭くなっている気がする。
くちゅくちゅと慣らしながら指を増やすと、タイガが再び乳首を舐め上げてくる。ねっとりと舐められ、爪を立てられる。
上目遣いのタイガが可愛すぎて俺の理性がブチ切れそうでヤバイ。可愛い。ヤバイ。好き。
再びペニスが立ち上がり、先走りを溢れさせながら揺れる。
「ふぅ、ふ……あっ」
お返しとばかりに目の前でピコピコ揺れる虎耳をはむはむする。びくりと反応するのを見るに、虎耳も感覚があるようだ。ホント可愛すぎるだろタイガ。
「も、ぃれる……っから…」
「大丈夫か?」
まだ充分とは言えないが、ペニスもアナルもじんじんと張り詰めててやばい。
このペニスをぶち込まれたくて我慢できない。
タイガの情けない表情にキスを落とすとペニスを片手で固定し、その上にゆっくりと腰をおろしていく。腰を支えられながら先端が潜り込む。
くちゅくちゅとペニスとアナルがキスする音が聞こえ、そのまま呑みこんでいく。一番太い部分をクリアすると、引き込むようにずるんと根元まで咥え込んだ。
「う、あっあああぁぁ……‼」
ヨダレを垂らしながらびゅくびゅくと射精する。人生初セックスで初トコロテンとかドンだけ俺の身体はこらえ性がないのか……!それともタイガのペニスが凄すぎるのでは!?
「……ッ…またイったな。っふ、コタローの中が熱くて狭くて、気持ちよすぎて……っ俺もヤバイな」
軽く腰を揺すられて騎乗位で喘がされる。
射精直後で身体が痛いほど敏感になっている。手足がびくびくと痙攣して力が入らない。
「はっ、はぁ……やめぇ、まら、うごかな…あ、ぅやあっ!」
「すまない、無理そうだ」
腰だけで持ち上げられ、深く深く繋がる。ゆっくりと抜き差しされ快感に身悶えた。ぱちゅと肌がぶつかり合うたびにギジギシと寝台が揺れる。二人の荒い息遣いが明かりのない部屋に響いた。
小太郎の髪が快感を拒絶するように左右に揺れる。感じ過ぎて辛い。
「あっ、ううっ! あぐぅ!」
ギチギチとアナルを限界まで広げられ、滑りが足りないせいか肉が引きつるようにピリピリと痛む。
しかし感じる入口も前立腺もこの巨根でゴリゴリと擦られると痛みなど吹き飛ぶ。羞恥心などかなぐり捨てて嬌声をあげた。
「おしりっ、きもちっ…い!」
ふぅふぅとタイガが鼻息荒く暴れまわる。
獲物を狙うように赤色の瞳が金色に変わり、暗闇に輝いた。
(やべぇ、これタイガが本能マックスになってる状態だ)
身体をもちあげられ、ずるりとペニスが引き抜かれる。
「!? うう、やらぁ、ま、だっ、うぅっ」
圧迫感が消え、体の一部が無くなったような喪失感に捕らわれる。
ふわりと体が浮くと、タイガは小太郎をうつ伏せに組み敷み、背後から乱暴に貫いた。
「あっあああぁっ‼‼」
「っ、ぉっ!」
汗ばんだ肌にパンパンと激しく楔を打ち付けられ、突き入れられるたびに壊れた己のちんぽから精液が飛ぶ。全身を揺さぶられ、乳首もペニスもマントに擦り付けられて意識が何度も飛びかける。
身体がおかしい程すぐに高ぶり、何度も中達キした。
まるで全身が性器になってしまったかのように激しい快感が身体中を支配している。
「あぁ、うっん、たい、がぁっ‼」
「ッコタロー、コタロー…ォ‼」
ぐちゅっ!ぐちゅ!ぷばっ!ぐぷっ!
タイガは腰を鷲掴み激しくピストンして、叩きつけるように中で射精する。大量の精液が中に出され、溢れて足を伝い落ちた。
つられるようにもう何度目かわからない射精かんに身を震わす。マントにこぼれ落ちた精液はタイガのものか小太郎のものかわからないほどぐちゃぐちゃに混ざり合っていた。
はぁはぁと二人の息遣いだけが部屋に甘く溶けて消える。
快感の余韻に浸り全身を弛緩させていると、タイガの筋肉質な身体が上におぶさってきた。息苦しさに喘ぐと、首根を思いきり噛まれた。
「いだぁ!?」
首元を鋭い歯で噛まれ、挿入されたままのペニスが再び硬度を増す。
がっちりと抱きすくめられたまま、再び荒々しく挿入される。
ずぱんと思い切り奥を穿たれて叫ぶ。頭が真っ白になり、息が詰まるような快感が小太郎を甘く責め続けた。
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら必死にやめてと懇願しても、タイガは本能の赴くままに貪り続けた。
「やめ、たいがぁ、うぁ、ああぁぁ‼」
ぐちゅぐちゅと中だしされた精子が泡立って飛び散り、何度も失神しては、激しく抜き差しされて揺さぶられて気がつき、また強すぎる快楽に意識を飛ばす。
疲れ果てて涙も声も精子も枯れ果てたころに、痛いほど抱きしめられ中に幾度目かの射精をされ、ようやく責め苦から開放された。
(じゅうじんのこうび、まじぱねぇ……)
ケダモノでした……。
俺の恋した人は野獣様でした。
「すまなかった……」
目を覚ませば初めて出会った山小屋で、愛しい男がうな垂れている。大きい図体を縮こまらせ、へたれる様に身体の痛みも忘れて鼻血がでそうだった。可愛すぎるオッサン、とは。
「タイガのケダモノ……喉も腰も痛い」
「ぐ。つい、というか自分でも信じられないほど箍が外れてしまってな……本当に悪かった」
「セックスんとき何時もあんなんなの?」
「いや、いつもは違うぞ!?」
「へぇ、いつもっていつだろうね? その人には優しくて俺にだけあんな事したんだ」
一晩中いろんな意味でなかされたな俺。喉がいてぇし関節も腰も尻のアナもなんか違和感がある。
まじで自分で開発しててよかったな。じゃなきゃヤり殺されてたんじゃないか?
「言葉の綾だ。あー、コタローだから抑えが効かなかったんだ」
「それ、俺が特別だって言ってるの?」
タイガは男らしく頷いている。
「コタロー。何度も死にかけた時、帰りを待っているコタローの顔が浮かんだ。絶対に帰ると。お前が心の支えだった」
「タイガ……」
「俺はお尋ね者だし、まだ色々片付いてないからな。途中なのに帰ってきてしまったのもお前の顔が見たかったからだ。だが俺はお前を束縛しようとは思っていない。いや違うな。本音は誰とも寝て欲しくない。唯一の番になってほしいと思ってる」
きゅんきゅんする。タイガが俺をそんなふうに思ってくれていたなんて。
てか俺がタイガ以外とセックスするわけないだろ。
俺は毛布に丸まり羞恥と喜びにに歪む顔を隠しながらタイガを覗き見る。
「タイガがブラッシングさせてくれるなら……番になってもいいよ」
ブラッシングは亜人の近しい者の証だ。
未だにタイガが目の前にいるなんて信じられない気持ちでいっぱいだけど。
俺はタイガの恋人になりたい。
家族になりたい。
お帰りって言ってあげたい。
タイガは小太郎を抱きしめると、肩の上にひたいをつけた。堪らなく幸せそうな顔をしている。
ズキリと胸が痛む。こんな独占欲が激しい上に粘着質で……俺は自分のことしか考えてないというのに。言ってないことだって沢山ある俺で本当にいいのだろうか。
「俺で、本当にいいの?」
「コタローがいいんだ」
「俺が嘘つきな異世界人でド淫乱で筋金入りのタイガのストーカーだとしても構わない?」
「どんなコタローでも構わないよ。俺はずっと、俺だけを必死に見てくれるコタローみたいな恋人が欲しかった。追われるようになってからそんな事も忘れていたがな」
タイガは寂しそうに笑う。ってそうだ。獣人は自分への好意なんかを嗅ぎとれるんだった……!!それじゃ最初から俺の気持ちもバレバレなワケで。
「それに獣人の嗅覚、本能が訴えてるんだ。コタローを嫁しろって。初めて滝壺でコタローを拾った日から俺はお前の事しか考えられなかった」
タイガは首元に鼻を埋め、いい匂いだと嗅ぐ。
タイガがそう、思ってくれるなら。
俺も覚悟しなきゃいけない。
応えなきゃいけない。
「………俺はね。少しだけ未来が見えるんだ。タイガは生きて、立派に敵を倒すよ。沢山の仲間と一緒にね」
少し驚いた表情でこちらを見つめてくる。抱きしめられた腕に力がこもった。
「道のりは長く険しい……犠牲も払う。何度も命を狙われる。それでも、助けてくれる人が沢山周りにいることを忘れないで欲しい、俺も何ができるかわかんないけど、全力で助けるから」
「……コタローは不思議だな。それが真実だと思える。なぜだか未来に希望が持てる。もう駄目だと何度も絶望してた時にお前が降ってきたんだ」
ぎゅうと互いに抱きしめあい、額をつける。
唇が触れそうなほど密着して美しい瞳を覗き込んだ。
「それでな……全部片付いて平和な生活をおくれるようになったら、一番下っ端の使用人でいいから俺も連れて行ってほしいんだ」
「却下だな」
「はやっ?!」
「何を言っているんだ。番になってくれといっただろ? 嫁として連れて帰るに決まってるだろうが」
呆れて、当然のように言われて、視界が潤む。この世界に落ちてきた時、高望みはしないと思った筈だった。
こぼれ落ちた涙をタイガが拭ってくれる。
「ひっく……もうタイガなしじゃ俺生きていけないんだ。必ず、必ず生きて帰ってきて。お嫁さんにして、俺がタイガを幸せにするから」
「ははっ、俺もコタローを幸せにすると約束するよ」
◆エピローグ
その後、アニメの大筋通りに話は進んだ。
命を落とすはずだったキャラクターが助かったり、タイガの怪我が軽くて済んだり、諜報活動が驚くほどスムーズに進んだ。
裏切り者が内部にいるのではと疑心暗鬼になった敵勢力が荒れに荒れたり。強硬手段に出てきた話を聞いた時、激しく血の気が引いたり。
そして、追い詰められた彼等はお粗末な結果を残して全員破滅した。それを聞いた俺は脱力して大泣きしてしまってが、誰も俺を責められないと思う。レクターですら慌てたほどの大泣き……今思い出すだけでもこっ恥ずかしい。
アニメの中では季節が二巡するはずが、一年以内でこの大捕り物が終結した。
そういえば。執拗に背後関係を疑っていたレクターだったが、変わらず俺に後ろめたいことなんかないし、ふざけて超能力~なんて言うと冷めた目で見られた。
あまり信じていなかったので、誰も知らない奴のヒミツを暴露したら顔を真っ赤にして呆然していた。珍しいものを見たもんだ。
ま、実はレクター、可愛らしいものや甘いもんが好きなんだよな。ウケケ。
後日やや憔悴したメガネを見て悪いことしたなと反省する。こいつタイガのためにだいぶ走り回ってくれたしな。
お詫びに甘いケーキやパイやプリンなんかを作って差し入れしたら前よりも態度が軟化した。チョロすぎだろ陰険メガネ。
相変わらず命令口調のクソメガネだが「ケーキを作れ」とかあの顔で強要するもんだから面白くてしかたがない。開き直ったレクターが、とっつきやすくなったと屋敷や団内でも評判だ。よかったな。春は近いぞ。
と、ここまで話してタイガに襲われた。
わかったから仕事しろおおお!?
黒幕の豚貴族どもを一掃し、軍部のトップに返り咲いたタイガを待っていたのは膨大な後始末と立て直しだった。
団員の人出不足も合間ってさらに過酷な日々が続いた。
毎日、家に帰りたいとへたれぎみに愚痴るタイガを叱咤激励し、時にはエロい?サービスもしながら支え続けた。
なめられたらどうすると、周りへのフォローも忘れない。
だてに十年想い続けてきた訳じゃないぜ!
ドアの開閉する音が聞こえる。今日はお早いお帰りだな。
「おかえりタイガ。今日は好物の兎肉シチューだよ!」
俺は虎耳の子供を抱え上げると
最高の笑顔で旦那を迎えた。
end
ともだちにシェアしよう!