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第1話

ど、どうしよう……。 僕は途方に暮れている。 ここ、どこ? キョロキョロと辺りを見渡すとビル!ビル!ビル!!で同じ風景にしか見えない。 完全に迷子。 どうしよう?早く霊魂連れて帰らないと先輩に怒られる!エッチなお仕置きされちゃう!! 僕はもう1度メモをポケットから出して住所を確認する。 南区2丁目……。 「ここ、何丁目なの?」 全く分からずに泣きそう。 と、とりあえず誰かに聞こうかな? でも、霊感ある人しか僕は見えない……。それに見えちゃうときっと怖がるよね。 黒いフードつきのマントに大きな鎌。 そう……この姿は……漆黒の死神!! 僕は窓ガラスに映る姿を見ながらポーズをとる。 えへへ、カッコイイよね、このフード。 バサっ!!ってまるでバットマンみたいじゃない?この前、人間界にアクセスしてみたんだあ!映画ってやつを。 鎌は……レプリカだから切れないけどさ。 まだ、見習いだからって先輩が本物を渡してくれない。 そう……見習いから早く一人前の死神になりたいのに。迷子とか完全にアウトじゃん! 窓ガラスに映る自分を見つめて情けなくなってきた。 そして、窓ガラスの向こうが視界に入ってきた。 カーテンが少し開いてて、向こうから僕を見ている人がいる。 人……起きてんの?深夜2時だよ?まあ、起きてるか……いや、僕と目があってない? 明らかに僕と目があってるよね? やった!霊感ある人だこの人! 僕は窓ガラスをノックする。

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