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第3話
漫画ならば、それこそ彼女たちの目からはハートマークが飛びまくっていることだろう。
だが、当の秋斗はいたって素っ気ない反応で接する。
「そうなんじゃない」
もともとは自分が発した言葉だというのに、まったく興味はなさそうだった。
「でもさ、そのおまじないだったら、外人のほうが断然有利じゃね? 鼻高いもん。……あー、秋斗は高いからいいよなー。オレはダメだわ。鼻低いもん。実現は不可能だわ」
クラスでも一番のお調子者の田坂宏 が、女子生徒たちのあいだからヒョコッと顔を出し、自分の鼻に人差し指を当ててぼやいた。
宏のぼやきに、秋斗は端整な顔にいたずらっぽい笑みを乗せて答えた。
「そうだな。宏の場合、鼻よりおでこのほうが高いからな」
「うっ……、図星とはいえ傷つくぞ。確かにオレはでこっぱちですよーだ。あー、いいですよねー、秋斗王子様は超イケメンで。なーあ? 友悟? ……って、あー、友悟もイケメンだよなー」
秋斗の向かいの席で、クラスメートたちのやり取りを聞いていた友悟へ、いきなり話の矛先が向けられる。
「えっ?」
急に話をふられ、それもイケメンだ、などと言われて、友悟は少し戸惑ってしまう。
すると、秋斗が友悟の髪をパフパフとたたきながら、
「白兎 はイケメンっていうより、かわいいっていう表現のほうが合ってると思う。うさぎだし」
からかうような口調で言った。
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