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第5話
からかわれて、抗議の言葉を返しながらも、友悟はドキドキと鼓動が速くなるのを感じていた。
それは、友悟が秋斗のことを好きだから。
親友としてではなく、恋愛感情を彼に抱いているのだ。
初めて彼に会った瞬間から、ずっと惹かれ続けていた。
百八十センチ近い長身は均整がとれていて、ヒョロヒョロと細すぎることもなく、程よく筋肉がついている。
顔立ちは、涼し気な切れ長の目に、スッと鼻梁の通った形のいい鼻、綺麗な唇。
全体的に冷たげなイメージの美形だが、口角が少し上がっているところが、それを緩和している。
栗色のストレートヘアはサイドを自然に流し、清潔でお洒落だ。
本当に完璧な美貌を持つ秋斗。
彼は友悟が思い描く理想の男だった。
だから、初めはただ単に憧れの気持ちだと思っていた。……彼のような容姿に生まれたかったな、という感じの。
だって、秋斗と比べると、友悟は、「あーあ」と溜息しか出ないから。
友悟は、特に持病はないが、生まれつき体が弱く、体力がない。少し無理をするとすぐに体調を崩してしまう。
身長こそ百七十三センチあるが、なで肩で骨格が細いせいか、どうしても貧弱なイメージが否めない。
二年生に進級したとき、一念発起して週に二回、スポーツジムに通い始めた。
最近になってようやくその成果が出始めて、一年生の頃はそれこそガリガリだった胸にも胸筋がつき、折れそうだった腕も少しだけたくましくなってきた。
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