11 / 87
第11話
でも、どれだけ好きになってもかなわない恋。
だいたい普通の男女の恋愛だって、叶うかどうかは神様と恋のキューピッドが知るのみ。
ましてや同性同士の恋愛なんて、絶望的に近いのではないかと思ってしまう。
日本の、友悟の世代の中に同性愛者というのはどれくらいいるのか、想像することさえできないけれども。
でも、秋斗がノーマルなのは確かだ。
友悟は、秋斗と同じ中学出身の生徒が話しているのを、チラッと耳にしたことがあるのだ。
……秋斗は中学生の頃、少なくとも二人の女の子と付き合ったと。
それがどんな女性たちだったのか、年下か同級生か年上か、どれくらいのあいだ付き合っていたのか……、知りたいようで、でもやっぱり知りたくはなくて。
はっきりしたことは分からないし、もちろん、秋斗本人に聞くことなんて、とてもじゃないができない。
高校に入ってからは、特定の彼女という存在はいないみたいだけれども、いつだって女の子にモテモテだし、街を歩いていてもいっつも女性に振り返られている。
ほんと、今は誰とも付き合っていないことだけが救いかも……。
友悟はいったんそう思いかけたが、すぐにその考えを打ち消す。
ともだちにシェアしよう!