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第13話

 切なくて辛くて、たまらないから、友悟は、秋斗の話したおまじないにすがってみたかった。  そんなものには、なんの意味も効き目もないと分かってはいても。  せめてもの心の慰めとして……。  友悟はもう一度、溜息をつくと、カーテンを閉め、勉強机に戻った。  目の前にかけられたカレンダーを見やる。  今は十月の初め。  これから秋が深まり、季節は冬へと移ろっていく。 「秋とか冬って、雨多いんだっけ?」  ぽつんと独り言。  梅雨は嫌いだが、今回ばかりは今が梅雨だったら良かったのに、などと思ってしまう。 「これからは天気予報も豆にチェックしなくちゃね」  友悟は苦笑を浮かべつつ、心の中で小さく気合を入れた。  こうして友悟は、今にも降り出しそうな曇り空を見る度、外に出て雨が降るのを……その最初の一滴が鼻のてっぺんに当たるのを待つようになった。

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