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知りたい!

 果たして自分を陥れようとしている男性がこのような美しい世界で生きようと思うだろうか。  この息を飲むような美しい景色の中で、大好きな彼と笑い合えたらどんなに楽しいだろう。どんなに心が癒されるだろう。カールトン家の人々を知れば知るほど、離れ難く思ってしまう。  螺旋状になっている斜面をずっと上っていくと、やがて見えてくるのは大きな屋敷だ。  馬車がグレディオラス邸の大門をくぐり抜け、セシルは馭者(ぎょしゃ)に待ってもらうようお願いして銀貨を渡すと、玄関ホールに続く扉を叩いた。  果たして彼らは約束もなしにこんな早朝から訪れた自分と会ってくれるだろうか。決意してやって来たものの、今さらながらに尻込みしてしまう。  大きな扉の前で足踏みをしていると、中から甲高い声が聞こえた。開いていく扉の先に見えたのは、イブリンに似た雰囲気の、サーシャその人だ。 「まあ、まあ、よく来てくれました、セシル。あら、貴方一人?」  彼女は朝っぱらからの突然の訪問に嫌な顔ひとつせず、イブリンと同じようなあたたかな笑みを口元に浮かべながら周囲を見回した。それから彼女はセシル以外誰の姿もないことに驚き、大きな目をさらにまん丸くした。 「はい。あの、突然の訪問、申し訳ありません。今日はお尋ねしたいことがあって、無理を承知でやって参りました」  これからカールトン家のことについて彼女から聞き出すのだと思うと、緊張がセシルを襲う。必然的に息が上がる。ヒステリックな声に近かった。

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