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「…………」
――果たして自分の首筋はいったいどうなっているのだろう。
セシルは硝子に写った自分の姿をそっと覗いてみると、見えたのは赤い痣だ。
『増えていないことを祈る』
ガストンがそう言ったものは、やはりこの愛撫の痕を示していたのだ。セシルの身体が先ほどよりもずっと熱を持つ。
ガストンにヴィンセントとの情事をまざまざと見せつけたような気分になる。それでも、これが嬉しいと思うのはいけないことだろうか。
「ヴィンセント……」
(ヴィンセント・カールトン。彼こそが僕の最愛の人だ)
セシルは彼の首に腕を巻きつけ、目を閉ざす。
与えられる幸福に目頭が熱くなる。
セシルは力強い彼に身を委ねた。
-END-
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