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僅かな希望を胸に秘めて。
それに自分の命もそう長くはないことを知っている。こうして身体を動かし続けていると頻繁に目眩を起こすし、咳が止まらなくなっている。
つい先日だって目眩を起こし、生前父が大切にしていた花瓶を割ってしまった。
ただでさえ、この屋敷を切り盛りするために美術品の殆どを質屋に売っている。それに加えて、意図的ではないにしてもセシル自らも食器など骨董品を割っていくから遺品すらも残らない。
こうしてこの屋敷には借金ばかりが積み重なる一方で、両親の面影が消えていく。自分が愛されたという証しのすべてが手から零れ落ちていってしまうのだ。
それでもセシルは懸命に生きる。いつかきっと報われると信じて――。
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