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身の振り方。
ビオラは、『自分はこんな悪魔のような子にさえも我が子のように可愛がり、こうして華やかな場所にも連れて来てやっている』と、自慢するためのものだった。
だからビオラから与えられるスーツは決まって白を基調とした彩りのものばかりだ。おかげで生まれつき身体が弱く、食べ物もろくに与えられていないセシルの顔色は普段よりもずっと青白く見えるし、赤い髪や目だってうんと目立っている。貧相で気味の悪い子。彼女たちの目にはそう見えているに違いない。
ただでさえ、何かしらの欠点を見つけては相手を罵り、嘲 る貴婦人たちのひそひそ話を聞いていると気が滅入ってしまうのに、汚れたものを見るような鋭い視線に攻撃されてはもう生きた心地はしない。
必然的にセシルの顔は俯き、身体が小さく丸まってしまう。そうすると、ますます気味の悪い生き物に見えてくるのだろう。貴婦人たちの陰口は留まるところを知らず、さらにセシルを追い込んでいく。
「ねぇ、お母様。カールトン公爵様は今晩、本当にいらっしゃるの?」
「今夜はその噂で持ちきりだもの、間違いないわ。ロゼッタ、あちこちに目を向けないで。お行儀が悪いわ」
俯くセシルの前では、紺のドレスに身を包んだビオラと、黄色いドレスで着飾ったロゼッタが歩いていく。
煌びやかなイブニングドレスを身にまとったビオラとロゼッタは、今夜はいつも以上に美しかった。
ロゼッタに至っては、胸元がぱっくりと開いたドレスで白い柔肌が映えている。コルセットを強く締めたおかげで腰がとても細く見えた。
見た目に騙される愚かな男性たちの視線は殆どがみな、彼女たち二人に降り注いでいる。
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