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第18話
「マネージャー先行ってて、すぐ行くから」
「十分だけね、ここで待ってる。そこの応接コーナー以外は駄目だからね」
「こっち来て」
一色に会えた。今にも抱きつきたい気持ちを抑えて、目の前の愛しい人を見つめる。
「一色、会いたかった」
「ねえ、君だれ?」
「えっ?」
「君でしょう、僕のストーカー。この前のスタジオの帰りの待ち伏せも君?」
……ストーカー?何の話?
「え……ちが……違う」
ヒイロは小さくため息をつくとサングラスを外した。そこにあったのはあの景色を移す紅い瞳。やっぱり間違いない。間違えるはずがない。
「いい加減にしてくれないと、警察に通報するから」
今目の前にいるのは、ヒイロであって一色じゃない。そして、知らない男にいきなり会いたかったと言われているのだと気が付いた。
「また、遅かったのか……」
待つと言ってくれた。何年先でも、何百年先でも。それでも間に合わなかったんだ。
「ヒイロ、そろそろ時間だから行くよ。君も帰りなさい」
促されてようやく立ち上がる。やっと自分に本当に必要なものが見つかったのに。本当に欲しい人がここに居るのに。
「一色、これは?」
耳のピアスにそっと触れる、驚いたヒイロが慌てて身体を後ろに逸らして、そして自分の耳に触れた。
「ああ、ごめん。俺ストーカーじゃないから、じゃあ」
その場所を離れようとした時に、ヒイロが手を掴んだ。
「待って……違う。いや、待って。何だ今の……」
落ち着かない様子で目を何度も瞬かせたヒイロがこちらを見上げている。
「ねえ、君は本当は誰?」
そう問いかけるその瞳はあの時のように空の色を映していた。
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