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第17話
勢いで雑誌社まで来たが、当然のことながら門前払いされた。
「あの、この雑誌のこの人、連絡先を知りたいのですが……」
「申し訳ございませんが、こちらではそう言ったご質問には答えかねますが」
受付の女性は言葉こそは丁寧だが、お前は何を言っているのかと呆れた顔をしている。ここまでくれば何とかなると思っていたのが間違いだった。
「あのじゃあ、この雑誌の関係者の方に……」
「雑誌のモデルさんのファンの方ですよね。そう言ったご質問にお答えすることもできませんし、この先へお通しすることもできません」
何故理解できないのかと、苛々しているのが伝わってくる。仕方なく大きくため息をつくと、そこから離れた。
「君、そのモデルさんのファン?」
後ろから男性にいきなり声をかけられて、一瞬緊張する。もしかして一色を知っていて会わせてくれるのだろうか。
「え!?あ、えっと、はい」
「そこに書かれた住所にファンレターを書くとモデルさんに届けてくれるよ」
ああ、そういうことか。それだったら知っている。確実に届くのかどうかは分からないし、返事だって本当に本人が書いているとも限らないってやつだろう。
「ああ、そうですね」
気のない返事をしたのは相手にも伝わったようだ。
「君は分かりやすくがっかりするんだね。そんなに好きなの?」
「もういいです、失礼します」
帰りかけた時に、後ろから肩を掴まれた。
「なんで諦めんの?」
そこに立っていたのは、上着のフードを被り、マスクとサングラスで顔を隠した少年だった。
「だ、誰?」
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