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第9話
「別に、我が血を継いでいなくても、この神社を守り、我との契約を履行するのであれば、それはそれで構わなかった。しかし、あの男の血を継いでいる者たちは、それを拒んだのだ。」
それが五年前のこと。それも、三百年に一度の婚姻だったというのだ。
「本来なら、お前を抱こうとした男が、我の嫁になるはずであった」
その言葉に、ビクリとする。将をこの男が抱く?その様がまったく想像できなくて、男の顔を凝視する。
「しかし、あの宮司は、それを拒絶し、身代わりにお前たちを呼んだのだ」
「身代わりって……」
「宮司は知っていたんだろう。血筋の者との婚姻を。一応、自分の息子もその中に混ぜたのは、『選ばれなかった』という言い訳でもするつもりだったのだろう」
ふと、そこで思う。
「……だったら、俺じゃなくて従妹たちの誰かでもよかったんじゃ」
男の顔を見上げると、そこには先ほどまでの怖い顔はなく、愛し気に俺の顔を撫でる蛇神がいた。
「言ったであろう?女系の一族であったと。あの中で一番濃く、我の血を継いでいたのはお前だ」
確かに、従妹たちの父親と俺の母親は兄妹で、祖母の実家がこの神社だった。
「でも、俺、男だし」
「構わんさ。男でも子は産める」
当然のことのように蛇神は言った。思わず、彼の言葉に俺は固まってしまう。
「え?いや、無理ですよね?」
俺は愕然としながら、男の顔を見つめる。
「我は神ぞ?出来ないことなど、ない」
ニヤリと笑うと、蛇神は俺の唇を優しく食んだ。
「それを、こともあろうに、我が手に入れる直前に、あの男がお前に手を出したのだ。結局は無事に手に入れたものの、お前の身体はまだ幼く、我との行為に壊れてしまいそうであった」
蛇神の言葉に、先ほどまでの淫らな行為を思い出してしまい、身体中が赤くなる。
「だから、我のモノだという印をつけて手放した。」
チロリと首筋を舐められて、俺の身体の奥のほうが疼く。もっと、この男が欲しいと求めるように。
「もう手放すつもりはない。そして、あの者たちも許すつもりもない……だが、今は、まだ、しばらくお前との時間を楽しもうではないか」
俺は彼の腕の中、快楽に素直に溺れていった。
……神様の言う通りにしていれば、間違いはない。
<終>
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