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逢瀬 1

 待ち合わせの店に一足先についた。時計をみると予約時間の10分前。コートを預けてビールを頼む。ここではメニューを選ぶ必要がないから面倒がない。  大阪に立ち寄る時は必ず足を運ぶ店だ。大きな通りに面しているし、新地は肌に合う。ミナミはどうにも騒がしい。北海道にはないあの活気に押される気がして落ち着かないからだ。  ここ半年、2~3週間に一度関空に降り立つ自分はどうかしている。その実感はあるが止めるつもりがない、というより止められない。  半年前、ススキノの居酒屋での出会い。そこから始まった関係は今までのものとは異質だった。自分は色恋に縛られる男ではない、そう思っていた。  しかし、今、自分が雁字搦めであることを自覚している。その強さと重さと同じだけの鎖で相手を縛ることを望んでいる。  まるで病気だ――頭に浮かんだ言葉があまりにも的確だったので、苦笑が漏れる。 そう、そのぐらい俺は溺れている。

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