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第1話 プロローグ

僕の師匠であるイリアスは、どんな魔法使いよりも強いと有名だ。 その身から溢れ出す魔力は、すれ違う人々を圧倒させ。感服させる。 彼が詠唱一つで起こす奇跡なんて、それはもう膨大だ。 彼に武器なんてものはいらない。杖も、箒も、精霊も、イリアス自信さえいればそれだけでどんな魔法使いにも、どんな魔獣にも、どんな魔術師にもきっと勝ってしまうだろう。 絶対的で、圧倒的。 誰もが彼を、神にも等しい存在だと言った。 けれど、僕だけが知ってしまった。 いや、僕だけが知りたかった。 彼がどんな人で、彼がどんな気持ちで、彼がどれだけ想っていたのか。 誰も知らない、僕だけが知っているイリアスはーー。 とても繊細で、とても一途で、とても弱い人だった。

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