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第0.3話

 「2年への進級、おめでとうございます。今日はこれで終わりです。では解散。」  あの合コンDキス事件(そう言ってるのは俺だけ)から、2ヵ月が経った。あの場に居た皆は、そんなのは些細な事だともう記憶の片隅にすら残っていない様子。  俺だって、気にしなければ直に記憶は薄れる。忘れよう忘れようと必死に考えないようにした2ヶ月間……なんでこのタイミングで矢吹雅人と同じクラス!しかも後ろの席なんだ!  「太一、だっけ?同じ高校だったんだな〜」  「ま、間違いじゃないか〜?おおお俺はお前と初めて会うけどな〜」  噛んだ…!めちゃくちゃ噛んだ!しかもすごく見苦しい!  気付いてないフリでやり過ごそうとしたのに、担任の解散!と言う合図と共に、荷物を持って教室ダッシュした俺を、矢吹雅人はわざわざ廊下に出てまで捕まえた。  「ふっ、どんな間違いだよ」  まともに目を合わせる事も出来ず、俯いて顔を背けたままの俺。どうして良いかわからず制服の裾を触っていたら、合コンの時に聞いた意地悪な囁きとは違う、優しい声が降ってきた。  「太一、俺と友達になれよ。」  「……へ?」  「俺、今のクラスに知ってる奴太一しか居ねぇんだ。だから、友達になれよ。」 それは、悪夢のような夢のひとときの始まりだった。 ―――――

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