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第1話
「最後に、マサは見た目に反して子供なところがあります。そんなマサに付き合ってやれるのは、大人なマナちゃんだけだと思います。面倒臭い時も、嫌になる時もあるかも知れませんが、マサを幸せにしてやってください。マサは、マナちゃんに愛想つかされないように大人になりましょう。以上!友人代表篠崎太一でした!」
悩みに悩んだ友人代表スピーチ。
なんで俺が、片想いの相手を祝福する言葉を綴らないといけないんだ。ああ胸が痛い。仕事を理由に欠席しようかとも考えた。けど、でも。『当然、スピーチはしてくれるんだろ?』と嬉しそうに、幸せそうにはにかんだマサが目の裏に焼き付いて。どうしても離れなくて。
「たいち〜!トイレなげぇよ〜記念撮影するから早くこっちこい!お前俺らの後ろ。真ん中な。」
「いや、そこ普通ご両親だろ!」
「いいんだよ。お前は一番の親友だからな!」
ほら、また。
この上なく幸せだ〜って顔しやがって。ほんとは俺が、お前をそんな顔にさせてやりたかった。お前の隣を、友人と言う立場を捨てる覚悟のなかった俺は、またこうして見ている事しか出来ない。
「おめでとう、マサ……」
さよなら、俺の7年間……
悪夢の中に潜む、僅かな夢のひとときが終わった。
俺の足元は、未だ真っ黒な沼に浸ったまま。
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