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第2話
「俺さぁ〜健気だよな〜ほんっと一途だよな〜あの女よりもイイ男だと思わねぇ?」
「ハイハイ。好きな男を横から女に掻っ攫われたからって、いつまでもイジケてないで次の恋よ!」
「そんなの、ムリだよ……俺、たった1回のアイツとのキスだけで、7年も片想いしてんだ。見てるだけしか出来なかったけど、隣に居れるだけで嬉しかったんだ。って、どんだけだよ。重いよ俺。」
マサとマナちゃんの結婚式と二次会に参加したその足で、最近通っている2丁目のバーへ来た。
「いっそ、アイツとしたように熱烈なあま〜いキスなんかしたら、忘れられんのかな……」
家に帰っても思い出すのはアイツの事。寂しく一人で夜を過ごす気になれず、ここ最近は仕事終わりに通っている。ここには同じ思いを抱えた人たちが集まるから、周りを気にする必要もなく話しやすかった。
「にしてもアンタ、実際のところ恋愛対象はどっちなワケ?」
「んー、男なんじゃね?アイツ好きになってから、女とどうこうなろうと思えなくなったし。」
「そうね〜。決めるのは、試してからでも良いんじゃない?」
何か企んだようなマスターの笑み。待ってなさい、あと少しで来ると思うわ。なんて言われて、何故か俺は席を立つ事が出来ないで居た。
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