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第17話
「んっ…やっ、ダメ…でちゃっ…」
「俺も、もう…っ」
「やっあっ、んぁぁっ…イってぅ、も、イってうからぁっ…」
「もう少し…ガマンして…っ、」
彼を気遣いながら気持ち良い所を探し出した、ところまでは覚えている。強い快感に耐えきれず、首に手を回して縋ってくる姿に、どうしようもなく煽られた。
「ごめん、無理させたね。」
意識の無い彼の髪を撫で、寝室を出た。
他の男の為に泣く彼に苛立ちを感じた。上書きなんて体の良い建前で、ただ俺が、彼の中から見知らぬ影を消し去りたかった。
「…んっ」
「身体拭くから寝てて良いよ。」
「ん〜へへ、隆明さんってぇ、かっこいいよねぇ」
「そ?ありがとう。」
タオルを手に寝室へ戻ると、寝惚けているのか、彼は上機嫌でニコニコ笑っていた。
「こういうの、どうせ僕だけじゃないんでしょ〜ダメだよ〜?もう、僕だけにしようよ…ねっ?」
一人称が僕になってる。素顔はこっちか。可愛すぎて困る…っ!
トロンとした閉じかけの目で、懸命に訴えかけてくる。翌日覚えているのかは怪しいところだが。
「太一くん、俺の恋人になってくれるの?」
「ん〜?いーよー」
じゃあ、今日から君は俺の恋人だよ―
耳元で甘く囁いて。
ああ、この温もりを恋と呼ぶのだろうか。
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