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第32話

 先週は適当にフラっと入った居酒屋で。その前は確かマサが予約してくれた回らない寿司屋。今週は俺が予約した個室居酒屋。  いやぁ個室ってだけで無防備になる。周りを気にしなくて良いし、こうやってグダグダしてても怪訝な目を向けられることも無い。少し話しすぎたかぁ、なんてぼんやり考えていると、マサがそろそろ帰るわ。と荷物をまとめ始めた。  「まぁアレだ。玉砕したらした時。今はセフレでも良いから〜って泣きついて、後から惚れさせれば良いだけの話。」  「だぁからそれは〜マサみたいに顔が良くて〜何でも出来るイケメンに限るんだよォ〜」  「絡むな絡むな、お前飲み過ぎ。明日も会うんだろ?タイミング見て、好きなタイプとか聞いてみれば?あまりに掛け離れてたら諦め時だな。」  「クソォ〜俺もイケメンになりてぇ〜」  セフレでも良いからなんて、一度言ってしまったら、きっと終わり時がわからなくなる。万が一両想いになれたとして、俺は多分、セフレと恋人の僅かな違いに悩んでしまう。  ―これって、セフレの時と何が違うんだろう、と。  「お、タクシー来たぞ。じゃ、俺は嫁が迎えに来るんで。また来週な〜」  「お〜お〜ラブラブ夫婦羨ましいことで〜」  ああ、早く隆明さんに会いたい。明日が待ち遠しくて恋しくて、どうにかなってしまいそう。

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