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第868話

ガチャッ! 「おはよ! 朝だよー。起きて、伊織~」 まだ、寝てる俺を起こしに寝室に来たミキに声を掛けられたが……。 直ぐには起きれず暖かい布団から出られずに居た 「ん……あと5分」 「本当に、あと5分したらお越しに来ますからね~」 「……解った」 パタンッ。 もう朝か……もう少しだけ。 ぬくぬく…と、暖かい布団の中で微睡んでた。 ~5分後~ ガチャッ! 「伊織、5分経ったよ~。起きて~」 「ん~……」 返事も碌にせず、ぐすぐす…と起きもせずに布団から出ようとしない俺の事を見て、ミキが近付いて来る気配を感じた。 「伊織~、朝ごはん出来てるよ~。早く、起きて」 「………ん」 布団に半分顔を隠し、なかなか起きない俺に業を煮やしベットに腰掛け布団を少しずらして、俺の頬に両手を宛行い顔を向けさせ「早く、起きて」と顔を覗み込む。 流石に目を開けミキの顔を見た。 朝目覚めた時に、ミキの顔を1番に見れるなんて 幸せだなぁ~。 覚醒してない頭でそんな事をボーと考えて直ぐには起きない俺にミキは朝から可愛い~事をしてくれ、俺を喜ばす。 「起きないと……こうしちゃう~」 頬に両手を当てたまま素早く顔を近づけ チュッ! 可愛いキスをし、素早く立ち上がり振り向かずに 「早く、起きてね」 言い残し、寝室を出て行った。 余りの素早さで……寝起きの頭では直ぐには何が起こったか?理解出来なかったが、照れたように振り向かずに寝室を出て行ったミキをボーと見送ってたが……。 今……ミキから……キスしてきたよなぁ⁉︎ ‘おはようのキス’……か? これまでもセックスした朝、隣で寝て起きた時に 戯れ合うようなイチャイチャしたい事もあり、俺からの ‘おはようのキス’ をする事は何度もあったそしてミキからのお返しのキスも確かにあったが ……日常では、ミキの方が先に起きて朝食の準備をして俺を起こしに来てたが……普通に声を掛けるだけで……こんな事は、たぶん…………初めてだと思う。 うわぁ~、そう考えるとめちゃくちゃ嬉しい‼︎ 寝てる場合じゃねーな。 俺は直ぐに起きて寝室を出た。 「おはよ」 何事も無かったように、いつもと変わらぬ挨拶をした。 敢えて、さっきの事を聞く事はしなかった。 ミキがどんな心境の変化でそうしたのか?それとも、気紛れで……なのか?は解らないが、ミキがそうしてくれた事を素直に喜ぶ事にした。 今後の事も期待して……そっとし普段の朝の日常と変わらぬように心掛けてた。 「おはよう。ご飯、出来てるから食べよ」 いつもの朝と変わらない風景とトースト.目玉焼き.ベーコン.サラダと言う献立。 何も変わらない。 『頂きまーす』 食べ始めて、少し経った時だった。 「明日の夜って、伊織は早く帰れそう?マコと大将の所に行って、昨日のお土産渡そうと思ってるんだけど。もし、大丈夫なら、伊織も来ない?夕飯も、そこで食べようとマコと話してるから」 俺を誘ってくれてるのか? いつもだったら真琴君と2人だったり沙織達と一緒におやじの店に集まってるのは知ってるが、俺を誘う事も無いし俺も割と遠慮してた。 「仕事は特に急ぎは無いが……。俺が行っても良いのか?」 「えっ! どうして?別に、伊織が来る事に差支え無いけど?マコにも話してるし」 今まで…俺が居ない方が話も盛り上がるんだろうと思ってたしミキも敢えて誘う事も無かった……俺の方が気を使ってたのかも知れない 聞いた事はなかったが……取り越し苦労だったのか⁉︎ 「じゃあ、行く‼︎ おやじの顔も見たいしな」 「うん。じゃあ、先に行ってるから。伊織は仕事終わり次第店に来てね。お土産は俺が持ってくから」 「ん、解った」 普段は俺が色々決める事が多いし、もちろんミキの意見も聞くが……。 些細な事だが、俺はこの事も嬉しく思ってた。 コーヒーを飲み終わり、ミキが席を立った。 「伊織、先に出ちゃうから。お片付け、お願いして良い?」 「ああ」 片付けって言っても食器洗浄に入れるだけだが、いつもミキは申し訳なさそうにお願いしてくる。 そこは変わらないんだな。 そう思うと少し笑える! そして仕事に出勤する準備をするミキと同時に、俺も朝の後片付けをした。 出勤前の少しの間、ソファに座りコーヒーを飲みながら朝のニュースをTV見てる俺にリビングの戸口で声を掛けてくのも、いつも光景だった。 出勤準備を整え、ミキ専用の部屋から出ていつも通りリビングの戸口に向かってたと思ったが、ミキが俺の方に向かって来た。 「………?」 何か言い忘れか? 側で立ってるミキの顔を見上げると、少し恥じらうような笑顔を見せて 「行って来ます」 チュッ! 少し屈み、見上げてた俺の唇に可愛いキスをくれ逃げるように足早にリビングの戸口に向かいドアを開け一連の流れを茫然と見てた。 「戸締まりお願いしますね」 振り返る事も顔を見せる事もせずに、それだけ言ってパタンッと閉めて玄関に向かう足音が聞こえた。 俺は面食らって、少し放心状態で声も出なかった たぶん、ポカンとし間抜けな顔をしてたかも知れない。 玄関のドアがガチャンッ!と閉まった事で、我に返った。 そして急に嬉しさが込み上げフニャ~と、だらし無い顔になってた。

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