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第2話 出会い

カン・カン・カンと足音を鳴らして地下の階段を降りると重厚な扉に‘R’moneと紅字に金の縁取りしているプレ-トを前に「久しぶりだな」と独り言を呟く。 重厚な扉を開けて中に入るとグラスを磨いていた人物が顔を上げ、少し目を見開いてグラスを磨く手を止めて「よぉ、いつ戻って来た」 「昨日、羽田着いた。いつもの頼む」 端のスツ-ルに座って店内を見渡しああ変わって無いなぁと久しぶりに来た事を実感する。 ‘R’moneはセレブ相手のゲイバ-だ。 店内の雰囲気が良いから純粋に呑んでるセレブもいるが大半がゲイが多い。 店内は黒に統一されてるが所々紅と金をアクセントにし観葉植物も品良く置いてあり店内にはJazが流れている。 セレブ相手にゲイバ-をするコイツの目の付け所は経営者として優秀だと思う。 流石、人間観察が趣味だけあるな。 ‘R’moneは会員制のバーでは無いが隠れ家的店にしている。 アルコールも充実していて雰囲気もあり品も良いからセレブがセレブを呼び口コミでセレブの間ではそれなりに評判になっている。一般人は口利きかセレブの人が連れて来ないと入店出来無い。 ゲイバ-と言う事で此処で会っても他言はしないのが暗黙のルールだ。 セレブだけあってそれなりの地位に居る者も多いし品があるからトラブルが少ないのもゆっくり安心して遊べると評判がいい。 開店当初は大変だった筈だがこいつの努力と経営手腕の賜物だな。 ‘R’moneの名前の由来はアネモネの花からで、少し英字を弄っているのも洒落てる。 アネモネの花言葉は、色々あるがプレ-トが紅字にしているのは紅のアネモネを意味し紅のアネモネの花言葉が‘君を愛す’らしい。 それを聞いた時はこいつ見かけよりロマンチストなんだと笑ったが新たな一面を見た感じがした長い付き合いでもまだ知らない所があるコイツは掴み所が無い。 カランと音をさせ「ほら、いつものだ」 渡されたバ-ボンを一口飲む。 「あぁ。やっぱりここのバーボンが1番美味いな」 「お前ブッカ-ズ好きだよな。それ以外もいいのあるぞ」 「いや、色々呑んだが、これが一番美味い。ここに戻ってきたって感じもするしな」 あんまり表情は変わらないが嬉しそうに 「そっか。お帰りだな。いつまで居るんだ」 コイツが表情変えないのは昔からだがこの商売で尚更、判り難くなった気がする。でも、腐れ縁の俺には細やか変化は判る。 「いや。日本に戻る事になった。今回、帰国したのは部屋探しと会社の同僚に会って、今の会社の状況リサ-チだな。2週間位居てアメリカ戻って、1カ月位引き継ぎとか身辺整理して3月中旬か末に帰国かな。4月から本社勤務にまた戻るこれからは頻繁に来てやるからな。ああ、美味い酒が呑めるな」 「アメリカ転勤になってから5年か。長かったなお疲れ」 と久々の悪友との再会を過ごしていた。

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