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第3話
重厚な扉が開き入店して来たのはこの店には似合わない可愛いらしい男だった。
カウンターの端にいた俺には気付かず。
「祐さん、喉乾いた。なんか美味しいカクテル呑みたい」
祐一は俺に「悪い」と目で話して。
「判った。で、今日はどうした?」
「ミキと待ち合わせ。多分、もう少しで来るから一杯だけ呑んでからミキんちに行って、家呑み」えへへって可愛らしく笑う。
「ほら、ミモザだ。オレンジ風味で呑みやすいぞ。家呑みってまたか?」
「うん。また」
そんな会話が聞こえて、開店にはまだ1時間位ある。
扉にもCLOSEになってたはずだが勝手に入って来たと言う事、祐一のこと「祐さん」と呼んでる事かなり祐一と親しい奴か?開店前に勝手に入って来るのは俺ともう一人悪友の龍臣だけだと思っていたが。
また、扉が開いて。
「ごめん、マコ。待たせたかな?」って言いながら入って来た人物を見て俺は目を見開いて息を呑んだ。
一瞬、頭が真っ白になって体に電流が流れたかのように身動き取れなかった。
そんな俺をチラっと祐一が見たのが見えて、慌てて素知らぬ振りをした。
今のはなんだ、自分の体に起きたことが何なのか判らなかった。
俺は今までの人生でこんなに綺麗イヤ美しい人物を初めて見た、人なのか?この世の者とも思え無い程の絶世の美人だった。まるで、別世界から抜きでて来た女神かと思ったほどだった。
これまでも綺麗と言われる男も女も見てきたがそれらが霞む程に美しかった。
その美しい姿をジっと見ていた自分にハッとして我に返った。たぶん見惚れていたんだろう今までそんな事したことも無かったから呆然とした。
そんな俺には関係無く会話は続いていた。
「今、来た所。祐さんに一杯だけカクテル頼んで呑んでた。ミキは?なんか呑みなよ」
「祐さん、いいですか?頼んでも」
「何呑む?」
「ベリーニお願いします」
すぐシェ-カ-を振りながら
「ミキ、またか?……ほらベリーニだ」
「……。すみません。……頂きます」
今まで存在を消していたが俺の存在に気づいて欲しかった、何故そんな行動をとったのか自分でも不思議だった。
「悪い。もう一杯」と声を掛けた。
人が居たのに驚いたのか「えっ」って顔をして俺を見て騒がしくしてすみませんって感じで会釈されてなかなか好感持てると思い気にするなって意味で軽く手を振った。
これで俺の事少しは認識したかなっとガキ臭い事をした自分に苦笑いした。
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