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第4話

「人が居るの気付かなかった、ミキ呑んだら行こう」と小声で話し始めたから会話が所々しか聞こえなくなった。 祐一を混じえて話しをしているのをぼんやり眺めていた。 あの祐一が声は出していないが笑っているから驚きだ俺達以外ではあまり人に見せないからだ。 「別れ……という……で、ミキの家で呑んでる………じゃあ……ミキ……いこ…」 どうやら、帰るようだ小声で話してるから所々聞こえない。 「……呑み過ぎる……。後で……行く」 「祐さ……。すみま……お借り…」と言って帰る為、扉に向かう。 店を出る前に後ろを振り返って俺に会釈して出て行ったやはりいいなぁと後ろ姿をジっと見ていたらまた、祐一が俺を見ていた思わず何でも無い振りをして 「何?」 「……モデルも霞む位の美人だろう?」 モデルが霞む位って言うより相手にならないと思ったが 「あぁ、そうだなぁ。モデルじゃ無いのか?」 「イヤ。どこかは知らないが会社員だ。学生の時から何度もスカウトがあったが本人は自分は目立ちたく無いって断ってたよ」勿体ないと苦笑してる。 そう言う所がまたいいなとふっと思ったが「会社員ってあの容姿で大丈夫か?」周りはほっとかないだろうって意味で聞いた。 「会社の事は余り話さないから良く知らんが上手くやってるみたいだから大丈夫だろう」 親しい間柄みたいだな。 「興味有る事以外に無関心なお前がそんな風に話すなんて、祐一の恋人か?」 それならマズイと思ったが 「気になるか? だとしたらどうする」 「………。」 もし祐一の恋人でも諦められないとは思っていたが何も言わなかった。 右の口元を上げて「惚れたか?」 祐一には悪いがそれには正直に答えた。 「祐一には悪いが一目惚れだ。龍臣じゃ無いがまさか本当に一目惚れってあるんだな」 「そうか、俺に悪くない。俺の恋人は隣に居た真琴って方だ」って言ってニヤって笑う。 「それを聞いて安心した。お前と揉め事に成らずに済む」 本当にほっとした悪友を失わずに済んで。 「だが先に言って置く本気か?お前の性遍歴は知ってるからなぁ。今迄のお前の相手は割り切れる奴だろう、そういう相手じゃ無いからもし本気じゃ無いなら辞めろ。マコの親友だからなマコを泣かせたく無いしミキには幸せになって欲しいからな」珍しく饒舌だ。 それ位マコって子が大切なんだろう。 「判ってる。お前の知り合いに手を出す事がどう言う事かもな。初めてなんだ一目で恋に落ちて目が離せ無くなったのは」 「………お前の気持ちが本物か試させて貰う。アメリカに戻るまでの2週間ここで呑んで誰の誘いにも乗らなければお前の気持ちが本気と思うがタイプでいい奴が居たら気にせず誘いに乗ればいい、それはお前の自由だ」 「………判った。正直こういう掛けみたいなのは嫌だが俺の本気を見せてやる。その代わり本気が判ったら協力して貰うからな」 「判った。本気ならな」ニヤって笑う。 「お前こそあの真琴って子。俺は知らなかっなぞ、いつからだ?龍臣は知ってるのか?」 少し照れて「龍臣は知ってる。今日みたいに 開店前にふらっと来て偶然会ったその時に言った。出会いはここで。知り合ったのはミキの方が先だがな。ミキがマコを店に連れて来てマコに一目惚れされたわけ。それから店に何度も通って口説いてきてたが相手にしなかったんだ。店の客ってぇのもあるけどあの時はマコも学生だったからな、散々諦めるように酷い事もしたし泣かせた、付き合うまでが2年も待たせた。一途に2年もな流石に絆された。今じゃ俺の方が夢中だ、だからマコを泣かせたく無い」と愛おしそうな顔で言った。 俺達にも見せない顔をあの子はさせるんだなぁ今迄、人間観察として面白そうな奴以外は感心が無いって奴がねぇ。人間変わるもんだな恋は盲目ってヤツかと思ったがそれと同時に羨ましいとも思った。 本当に本気になれる相手が居る事に。 俺は自分の事を誰にも本気に慣れない割り切った付き合いしか出来無い人を愛する事も出来ない人間だと思っていたが本気に慣れる相手がいる事がこんなに幸せな気分に慣れると初めて知った。 一目惚れで恋に落ち既にこの時にはかなり本気になっていた。もう一度逢いたい他の奴に持ってかれる前に手に入れたいと思っていた。

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