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第18話
「おはよう。知ってる者もいると思うがアメリカ支社から4月付けで1課に本社勤務になった成宮課長だ、皆んなよろしく頼む。成宮君 一言」部長の挨拶が終わり課長が挨拶する為1歩前に出る。
どんな人だろう。
仕事も出来て恰好良いって同じ男として憧れるなぁ。
後ろの方に並んでいた俺は姿を見る為隙間から覗いて見た。
そこには居るはずの無い人が居て目を見開いて驚いた
どうして?何故ここに?偶然?色々頭に浮かぶ。
後ろに並んで居る俺に気付かず挨拶を始めた。
「本日よりアメリカ支社から1課に移動になりました成宮です。2課.3課にもお世話になるかと思うがよろしく」耳に心地よいバリトンの声。
部長が「じゃあ、よろしく頼む。仕事に戻っていいぞ」の言葉でバラバラと皆んな自分の席に戻った。
俺は自分の席に戻る前にチラッと課長の居る方を見た、成宮課長の周りに2課.3課の課長が挨拶がてら談笑して居た。
部長が「成宮君は1課で顔合わせしてくれ」って聞こえて俺は焦った。まずい.どうしようと頭はパニックだった。
先輩達と席に戻ると程なくして成宮課長が1課に来た。
「先程も話したが本日より1課に移動になった成宮だ。日本には5年振りだからブランクがあるがよろしく頼む。仕事もあるから軽く名前だけでいいから挨拶して貰うか」と皆んなの顔を見周した。
俺は下向き加減で俯いていた。
先に田口さん.次に佐藤さん.次は俺だ。
もう俯いて居ても仕方ないと思って顔を上げ「香月です。入社4年めになります。宜しくお願いします」
何とか挨拶したがバレるんじゃ無いかとドキドキしたが課長は俺の顔を見ても何も言わず表情も変わらなかった。
最後にパ-トの上野さんが挨拶して通常業務に戻る為に席に着いた。
課長も自分の席に座り書類を取り出して見ていた。
その姿を見てほっとしゆっくりと静かに息を吐き出した。
ふうぅ、自分で思ったより緊張してたんだな。
あの様子だと俺の事は気が付いていないたみたいだ。
あれから1カ月以上経って居るからアメリカで恋人に会って一夜の相手なんか忘れているのかもしれない。
そう思ったら胸の中でチクっとして胸を押さえ、もしかして自分は気づいて欲しかったのか?とほんの少し思ったが、これから上司と部下の関係に成るこのまま気づかずに居た方がお互いの為だと思い直して、偶然とは言え一緒にこれから仕事をしなきゃいけないんだから。
忘れられ無いでいた一夜を自分も今日で忘れよう。
気持ちを切り替えて仕事をする為パソコンに向かった。
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