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第19話
自分の課の顔合わせを終え、席に着き直ぐ総務から渡された名簿を見ていた。
簡単に名前.年齢.最終学歴.会社内移動履歴.などが書かれていた。
挨拶する為に俯いていた顔を挙げた時直ぐに判った。
探し求めている相手だと。
偶然とは言えこんな近くにいた幸運に嬉しさでかなり動揺したが顔には出さなかったつもりだ。
俺は恋焦がれてずっと忘れられ無い相手だったから直ぐに解ったが出会った時とは容姿が全然違い雰囲気も違っていた。
出会った時の綺麗で美しい絶世の美人が毛先を軽く跳ねさせて流していた髪を真っ直ぐに目元まで下ろし、長いまつ毛.二重で青味掛かった漆黒の瞳を黒縁眼鏡をして隠している。
華やかで柔らかい雰囲気が地味で暗い雰囲気に変わっていた。
服も量販店で買ったような紺のス-ツを着て地味にしている。
出会った時の絶世の美人とは誰も解らないだろう。
何でそんな容姿をしているのか?と考え、たぶん会社では目立ちたく無いから皆んなに埋もれるように変えているのだろう推測した。
機会があれば聞いてみるか。
目元を隠すだけで印象が全然違うが、良く見ると形のいい鼻.誘うような色っぽい口は隠せ無いか。
腕時計とか靴など小物には気を使っているのかセンスの良さが判る。
挨拶した時の姿を頭に浮かべて名簿で愛しい相手の欄を探した。
香坂美樹(こうさかよしき).25歳か。
ミキって書いてよしきって読むのか。
だから祐一達はミキって呼んでいたのか男にしては女みたいな名前だと思ったがニックネ-ムだったのか。
可愛いらしい二ックネ-ムだと顔が綻ぶのが解った。
こんなにやけた顔、誰にも見せられ無いなと思いながら名簿を見る為下を向いているから判らないかと尚更、会えた嬉しさと少しずつ知る事が増えた嬉しさに相貌を崩した。
書類を見る振りをしてこれからの事を考えていた。
会社が同じなのは嬉しい誤算だ。
祐一の店に行って聞き出すつもりだったが焦る必要無いこれからゆっくり口説いていくか。
取り敢えず俺も移動になったばかりだ、仕事を優先にするか。
会社での香坂も観察して先ずは仕事で距離を縮める事にするか。
もしその間に祐一の店に1人で呑みに行ったなら
祐一から連絡貰うとして、見張って置く様にもう一度言ってみるか。
会社の事はまだ祐一には言わない方がいい色々協力して貰わないといけないからな。
名簿を見ながら微笑した。
先ずは仕事を片付けるか。
新たな書類を出し目を通し始めた。
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