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第7話 雅史に呼ばれて
「はい、採血終わりましたよー」
「ありがとう、翼ちゃん」
患者さんの採血が終わり、ナース
ステーションに戻ろうとしたとき
「翼君、ちょっといいかな?」
「は、はい」
雅史に腕を掴まれて、誰も使っていない
部屋に連れて行かれた。
「あ、あの急にどうしました?」
「お前の身辺を調べた」
「えっ、何故」
意味が分からなかった。どうして他人の
雅史が、自分のことを調べるのだろうか。
(じゃあ、自分が同性愛者ってことも・・)
翼は不安になった。
「お前が隠したい秘密は守る。
俺の言うことを聞けばな」
「言うこと・・」
金だろうか、それとも自分のパシりに
するのかとぐるぐる考えていると
予想もしていなかった事を告げられた。
「身も心も、俺のものにする」
耳元で言われ背中がゾクゾクした。
(それって、恋人になれってこと?)
「俺とお前が付き合うことは誰にも
言わない。だが、一緒に住んでもらう」
「えっ、それは」
「分かったな」
念を押されて、はいと言うしかなかった。
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