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第1話 僕の存在価値なんてない。
ただ、愛されたくて自分の存在価値を確かめたくて僕は身体を売った。
自分を大切にすることなんてずっと前から分かっているはずなのにそうでもしなきゃ自分が壊れてしまいそうで怖かった。売っているときだけ生きていることが実感できて、そんな自分が嫌で嫌で仕方がなかった。
やめようとしても無理で、こうして今だって身体を売っている。
「優くん気持ちいい?」なんて聞いてくる相手で、お前となんかシテも気持ちよくない。またやめられなかったと後悔が募ってしまって気色悪い感情が生まれるだけれども、それでも偽り続ける。
「気持ちいいです。蓮さん。また買ってくれますか?」と作ったような声で言うのだ。
こういうことをしないと存在してることが実感できないなんてもう壊れているんだろうか?
男とホテルを出た後僕は家に帰った。
もう誰も愛情をくれないこんな世の中となんか決別したい。ここから消えてなくなってしまいたいなんてずっと思っていた。死のう。そう思ってカッターを首に当てると
あぁ、温かい赤い血が流れて、こんな僕でも生きているんだなって思った。
うわぁーと叫んでしまって、そしたら隣人の人が気づいてくれたみたいで
「優さん大丈夫ですか?救急車呼ぶので。」
と言ってくれた。
隣に誰かがいるなんてこんなにも温かいんだ。今更自分のやったことに後悔と同時に心配してくれる人がいたんだと思った。
「優さん。もう少しでつきますから。生きててくださいね。」
ずっと話してくれてしかも生きててくださいと言ってくれて自分なんか汚れるか傷つくことでしか存在が確かめられないと思っていたはずで。人の温もりなんて感じたこともなかったのに。 ただ、ずっとそういう風に生きていたから、誰も愛してくれなかった。恋人も友達も両親さえも。
「優さん。貴方には僕が付いてますから。」
こんなにも心配されることがなかったから。
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