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第2話 

僕の横に救急車の中で、横たわっているのは隣人の優さんだ。 優さんはいつも危なっかしくて帰っているのが遅かったから普通の仕事をして帰ってきてる様子ではなかった。片想いのまま死んでしまったら嫌だ。 そう、そういう状況だったから。僕が気づいたとき優さんは首にカッターを当てていた。止められるものなら止めたかったけど、もう刺してしまった後でパニックになってしまった。 おまけに叫んでいたから状況が飲み込めなくてでもそれでも救急車を呼んだ。 ポロっ、ポロっ、ポロっ 「自分を傷つけなくても僕なら全て忘れさせるのに。生きててください。」 ポツリといった言葉が聞こえていたみたいで医師の人が「大丈夫ですよ。」といってくれたから、まだ不安はあるけれど落ち着くことができた。もう二度と大事な人は亡くしたくないから。こう思っているのは僕は両親と弟を十歳のときに交通事故で亡くしているから。 突然隣にいた人が居なくなる。実際それは耐えがたいほどもので、一回、いや何回も両親と弟の元に生きたいと思ってしまったから。 人は居なくなったら、思い出の中でしか生きれないのに。 それでも、僕が生きていたのはいつかハッピーエンドになるんじゃないかって思っていたから 、今明るく暮らせているのは優さんのお陰で今頃僕は両親と弟の側にいたかもしれないから。

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