206 / 275
第206話
「うん、うん…元気だよ」
様子を見てくる瞬助に背を向けて会話を始める。
「はは、大丈夫!うん、ちゃんと帰るし、ダメだよ男子寮なんだから、また帰った時にね、わかった、大丈夫だからまた連絡するよ、うん、じゃまたね」
後ろからの瞬助の視線が痛くて、早めに電話を切るコウジ。
「ふう、」
「お前、母親と仲良すぎねぇ?」
友達と会話しているようなコウジの対応を見てぽつり。
「別に、普通だよ、そういえば瞬はゴールデンウィークいつ帰るの?」
軽くかわして、ちょうど母親とゴールデンウィークの話をしたので瞬助の予定を改めて聞く。
29日は予備講習があり、普通に登校するので、5月の2日〜6日までの連休のことだ。
「だから帰んねぇって前言ったろ」
「それマジで言ってたの?」
「マジだって、前半は部活もあるしお前だっているんだろ?」
「いや、帰るよ…」
さっきの母からの電話で念押しされたし…
「なんで?ゴールデンウィークどっかデート行こうぜ?」
「いや無理だって、母さんと約束してるし」
「はぁ?なんの」
「家帰るって、病院の見学とか、色々…あと買い物とかも行くし」
「は?ママと買い物!?」
「何…?」
「マザコン過ぎだろ!」
「なんで、母さんがいきたいって言うから…親孝行してるだけだよ」
「親孝行って…まさかゴールデンウィーク全部とか言わねぇよな」
「……」
「マジで!?」
「だって、瞬、去年はゴールデンウィーク実家帰ってたし…予定はケンカ中に決めたから…」
もう別れるつもりだったから瞬のために予定あけるわけがない…
ともだちにシェアしよう!