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第116話
会計を済ませ、先に店を出ていたコウジとたくみに合流する。
「指輪get!」
袋片手に嬉しそうに笑う。
「半額出すよ」
そう財布を取り出すコウジだが…
「バカ、なに言ってんだよ、俺のプレゼントに決まってんだろ!」
「でも…」
「帰ったらお返しはちゃんと別でいただくし」
にっ、と笑って耳元で囁く瞬助。
「し、しゅんすけ?」
やや慌てて名前を呼ぶが…
「さ、いこいこ~」
かわすように、声をかけ歩き出す。
「はぁ…」
恋人の不穏な発言に不安がよぎるコウジだが、仕方なく歩き出す。
その後、3人はカラオケに行き、数時間歌って帰ることにする。
勉強も運動もできて…歌くらい下手なのかなと思うけど、歌もそれなりに上手い瞬助。
熱唱している瞬助を横目にたくみに話しかける。
「そうだ、今度の休みに委員会の先輩から誘われて医療サークルの研究会に参加するんだけど、たくみも行こうよ」
「へぇ、面白そうだな、もちろん行くよ」
当たり前のように頷くたくみ。
「良かった、1人で行くのは不安だったから…」
「幸田は?」
「瞬は興味ないって言ってたから…」
ケンカ中に誘われて、勢いで返事してしまった手前…
瞬助には言いづらくて聞いてはいないけど…
断わってたし…そういう人が集まる場所には瞬助を極力連れて行きたくないから…
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