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第24話 リョウヤ①

 翌日。  和樹はいつもより早く登校した。教室に入るなり田崎の姿を探したが見当たらなかった。一時間目が始まっても、昼休みになっても。  比較的田崎と一緒にいることの多い同級生、柳瀬に声をかけてみる。「田崎って、今日、来てないよな?」 「ああ、リョウヤなら、予行の日まで来ないってよ。」田崎のことを名前で呼ぶ柳瀬に、何故か一瞬苛立ちを覚えた。「リョウヤに用があるなら、明日会うから伝えるけど。」 「え。明日会うの?」 「都倉も来る? リョウヤと俺、同中なんだよ。明日は同中出身の集まりなんだけど、結局みんな知り合いの知り合いとか呼んでるからさ、誰が来ても平気だよ。こいつも来るし。」柳瀬は向かいに座っている宮野を顎で示した。 「残念ながら、明日は東京に下見に行くから無理だな。」 「おお、おまえ上京組か。いいよな。遊びに行ったら泊めてくれよ。」柳瀬は浪人が決定している。 「無理無理、都倉が一人暮らしなんて一か月ももたないに決まってるっしょ。」宮野がニヤニヤしながら言う。貧乏ゆすりの癖があり、それに合わせて天然パーマの毛先がふわふわ踊る。和樹は宮野が少々苦手だ。 「失礼な。俺は一応料理も洗濯もできるぜ。一応だけどな。」 「違う違う、そっちの意味じゃねえよ。どうせすぐ女の子引きずり込むっしょ、って、意、味。」わざとらしく区切って言う宮野。「柳瀬が行く頃には東京の女の子と同棲中だよ、だから泊めてもらうなんて、無、理。」そう言って笑いながら、さらに激しく貧乏ゆすりをし、頭をふわふわさせている。 「川島さんはどうするんだよ。」柳瀬が小声で囁いた。

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