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エピローグ

きっと僕の運命は、彼の手の中にある。ずっとそう思って生きてきた。 でも、本当は違ったんだ。 「本当に大学へは行かないつもりなのか?」 柔らかくも厚い声、僕らの父の声に、僕は覚悟を持って頷いた。 「私では大学までしか良を守ってあげられない。最後の自由な時間を、自ら減らしてしまっていいのかい?」 念押しするようなその言葉に、もう一度、今度はさっきよりも深く頷く。 そんな僕に一瞬驚いた顔をした父は、次の瞬間には笑顔を浮かべていた。 「そうか。和解したんだな」 父は優の異常なまでの僕への執着も、僕の体質についてもよく知っていたのだろう。その上で、今まで出来るだけ僕の意思で動ける環境を作ってくれていた。 感謝と、今まで苦労をかけてしまったことへの罪悪感が込み上げてくる。 「父さん……今まで、守ってくれてありがとう」 素直に気持ちを言えば、父はその笑顔をさらに緩ませた。 「たまには2人で帰っておいで」 僕はその言葉にまたしても頷き、その部屋を後にした。清々しい気分が心の中を満たす。 きっと僕の運命は、僕の手の中にある。ようやく僕は、そんな簡単なことに気付けた。 だから僕は、僕の意思で彼を選ぶ。 「父さんとは話せた?」 「うん」 「じゃあ、帰ろうか」 彼がそうしてくれたように。 僕は僕の意思で、彼の側に居続けるんだ。

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