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第54話
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「改めてお世話になります」
みーくんは深々と平蔵に頭を下げる。
叔父の処分も決まり、みーくんに危険が及ばなくなったので祖父の家から自分の私物を持って平蔵の部屋に引っ越してきたのだ。
「みーくん、ちゃんと調教しなきゃダメだからね、ほら新妻だから主導権握れるでしょ?」
「ちょ!広瀬!!」
引越しの手伝いをしにきてくれた広瀬にからかわれ平蔵は顔が赤い。
新妻という言葉にもちょっと反応したのだ。
「はい……そうします」
みーくんは笑顔で答える。
「えっ?みーくん、なにそれ?」
「平蔵はお酒とタバコ控えてね……もうすぐ健康診断でしょ?」
「あ!!」
みーくんの言葉でそうだった!という顔をする。
「本当、新婚さんだなあ」
広瀬は手をパタパタさせて嫌味を言う。
「じゃあ、新婚さんの邪魔しないから」
「えっ?飯食っていかないのか?」
「あー、後輩と飯いくから」
広瀬はヒラヒラと手を振り部屋を出た。
「先輩ー!!」
広瀬が平蔵の部屋から出て道路に出た瞬間、声をかけられた。
「おう!早かったな」
後輩が車から呼んでいるのでそちら側へ向かう。
「引越し終わったんですか?」
「イチャイチャしだしたから逃げてきた」
「それは大変でしたね……飯どこいきます?」
「あー、美味しい定食屋あるんだ、そこ行こう」
「はい!」
後輩は笑顔で返事をした。
◆◆◆
「みーくん、有給取るからどこか行こう」
荷物を片付けながら平蔵は言う。
「うん」
「どこいきたい?」
「ペットショップ」
「えっ?ペットショップ?」
「うん……僕、ハリネズミ飼ってみたい」
みーくんは可愛く笑う。
「ハリネズミ……かあ」
「うん、平蔵、凄く楽しそうに遊んでいたから今度は一緒に遊びたい」
「うん、分かった」
平蔵は立ち上がる。
「どうしたの?」
急に立ち上がる平蔵にキョトンとする。
「ペットショップだよ」
平蔵はみーくんへ手を伸ばす。その手を握られると引っ張りあげる。
「楽しい事は全部直ぐにやりたいんだ」
みーくんの頭を引き寄せる。
「ゲージもあるし、飼い方もわかる」
「そうだね」
みーくんは嬉しそうに笑う。
なんて、いい顔なのだろう?良かった……笑ってくれて。
これから先もみーくんをたくさん笑顔にしたいと思う平蔵だった。
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