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第1話

冬はコンビニのおでん。 色んなコンビニのおでんを食べてみて1番気に入った店へと通う。それが冬の醍醐味。 40代で独身野郎な平蔵は家で料理を作ってくれる奥さんもいないのでこうやってコンビニに通ってしまうのだ。 好きなのは玉子、大根、厚揚げ、牛すじ……自分で取るスタイルが平蔵は好きである。 この玉子がいい!とか店員に言うのは少し恥ずかしいと思うから。 おでんとタバコを買って店を出る。 時間は深夜過ぎ。この時間に店を利用するのは工事現場の人達や夜の仕事をしている人、あと酔っ払い。 今もヤンキーと言い方をするのか知らないけれど素行が悪い若者も利用するので深夜のコンビニの店員は大変だろうなと心配してしまう。 いつも、平蔵が帰る時に駐車場で暴走族がたむろしていたりしているから。でも、彼らは平蔵と目を合わそうとはしない。 野性の本能なのか喧嘩売っても負けると分かっているのだろう。 平蔵はガタイが良い。身長も190センチ近いし、見た目……怖いのだ。 1度、出口で暴走族の1人とぶつかった時、睨みつけたら「いや!殺さないで!!!」と涙目で訴えられて、店に居た人達から注目を浴びてしまった。 殺さないし!!こんちくしょーめ!! 心で叫んで「目は生きてるうちに使わないと死んでからは使えねーぞ」とアドバイスをした。 アドバイスだったのに「すみませんんん!!」と土下座をされてしまった。 俺……そんな怖いんかい!! そして、今日は暴走族は居ない。たむろしているヤンキーもいない。 代わりにポツンと1人座り込んでいる人影があった。 平蔵が進む先にいるのだから近付く事になる。 近付いていくと白いシャツを着た細い感じの……おんな? パッと見、女の子かな?と思った。 ショートカットのボーイッシュな。 平蔵が近付くと顔を上げた。 目が大きくて……色白で。テレビで見るアイドルの女の子より可愛い顔をしている。 えっ?深夜に女の子? どうみても、未成年っぽい。 「おい、お嬢ちゃん!何やってんだ、あぶねーだろ!襲われるぞ?ここら辺、ヤンキーとか暴走族ばっかだぞ?」 つい、お節介が出た。 でも無反応。 「早く帰れよ?」 心配ながらも横を通り過ぎた。 歩いていると、後ろからペタペタと音がきこえてくる。 振り向くと座り込んでいた子が着いてきていた。 「なに?お嬢ちゃん?道、こっちなのか?」 話かけると、コクンと頷いた。 あ、良かった……言葉は通じるのかと安心。 外国人かな?とも思うくらいに目鼻立ちがハッキリしているのだ。なので、言葉が分からないのかも?と思っていた。 でも、足元に目を向けると裸足だった。 裸足?なんで? 「靴どうした?」 聞いても首を振るだけ。 「怪我するだろ?」 道路は石もたまに転がっているし、ガラスだって。 しかし、平蔵はおでんとタバコと財布くらいしか持ってなく靴はあいにく持っていない。 「俺んち近いから靴やるよ……あっ、やましい事はないからな!変な事をしようと思っていない」 平蔵は言い訳を焦りながらしている自分に笑いたくなる。

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