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【番外編】やくそく

「それで、休みは取れたの?」 飯を食べおえて、ソファーでボクシングの試合の中継を眺めてぼんやりとしてると、康史は目の前にコーラとビーフジャーキーの入った皿を置く。 前に康史の誕生日にしてやると言った約束の日が近づいてきて、まったく気は進まないが約束は約束だし、果たさない訳にはいかない。 「入社早々三連休くれなんていう新人滅多にいねえってドヤされたぞ」 何とかっていう怪しい店のショーに一緒に行きたいとか、悪い予感しかしない。 予めどんなことをされるかも聞いたが、胸糞わりぃ内容だ。 「GWも働き詰めだったのに?」 「配送業に基本定休日はねえんだよ」 シフト制なので、先輩達はうまく休みをとっていたが、新人は穴埋めで必死である。 康史は大学が休みで俺が構えないのがかなりつまらなかったらしく、少し拗ね気味になっているので誕生日の休みは取れるようシフトを申請しておいた。 「五月病になりそうだよね」 「ンなメンタル弱くねえよ」 「トールじゃなくてオレがだよ。トール不足でもう辛い」 隣に座って身体をしなだれかけて下から顔を上目遣いで覗き込まれて弱った顔をされると、俺は堪らない気持ちになる。 「不足してるなら、補えよ」 後頭部に掌を回して、吸い寄せられるように顎を掴んで綺麗な唇を吸いあげる。 甘い香りがするのは、何か香水でもふりかけているのか。 「ん、トール.....明日は、休みだったよな」 「お前はガッコだろ」 舌先を這わせて唇を舐めあげて、赤茶の柔らかな髪をくしゃくしゃと掻き回すと、ふわりと見蕩れるような微笑みを投げられる。 「休講で、三限からなんだ。補わせてよ、いいよな」 いいよなと聞いてはいるが、既に伸ばされた手は俺のスェットの上から股間に這わされていて、許可など求めてはいなかった。 流石に連勤で疲れマラってやつか触れられただけで、膨らんでしまい準備は万端になっちまう。 明日は休みだから文句は無い、か。 「.....分かった、じゃあベッド行くぞ」 俺は康史の身体を抱き上げて、寝室に向かう。 俺も、多分康史もソファーだけで済むよう薄いセックスをしたい訳じゃないからな。 「5日ぶり」 「バーカ、数えてるなよ」 嬉しそうに見上げられて悪い気はしないが、なんとなく照れくさくなって吐き捨てた。

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