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不穏な空気→sideT

炒飯も食い終わって、俺らは康史からプリンを口に運ばれて、キレかける母親に白い目でみられながらも屈せずにイチャイチャし続けていた。 すると、買い物に行ったはずの紗南が息を切らせて裏口から帰ってくる。 「トール兄、トール兄、最近、東高とモメたか?!」 かーちゃんに割れないように言われた玉子を、気にしながらスーパーの袋を渡して、紗南は俺に駆け寄ってくる。 そりゃ、な。 まあ、最近に始まったことはなく、いつもモメてはいたが。 「こないだ、ヤスに手を出されたから、30人くらいは轢き潰した」 正直に答えると、紗南は少し眉を寄せて、それはしかたがない全員殲滅だろうと呟き、同意のうなずきを返す。 「外に、50人以上東高の人がたむろして、他にもこのへん徘徊してんぜ。総勢100人くらいにはなるかも。あのさ、この店、割れてるんか?」 あれから店にきたのは今日が初めてだが、その前にもこの近くで西覇の元彼を襲ったヤツらをシメたしな。 情報ってやつはどこからでも漏れだすもんだし。 「店にきたとしたら、オレとキタラで潰すとして。数が多すぎだなァ。とーちゃん呼ぶ?」 紗南はやる気満々で、武器何にしようかなと、モップとかを引っ張りだしてくる。 北羅はふうと深く息を吐き出して、割れそうな食器類を片付け始める。 なんだかんだ、北羅も戦えばかなり戦力にはなるヤツである。 「オヤジは呼ぶな。めんどくせえことになる。外にいるのは、俺とヤスでなんとかすっから」 まあ、報復はあるかもしれねえなとは思ってたけど。かーちゃんの店はノーマークだったな。 たまたまこっちに帰っていて幸いだったかもしれない。 康史を見遣ると、少し唇を噛んで表情を硬くしている。 やなこと思い出してしまったかもしれないな。 あんだけ忘れろっで言ったのに。 「大丈夫だ。2人でいれば、最強だろ?」 耳元で囁くと康史は力強く頷いた。 100人だろうが、潰すだけの話しだ。問題はない。 「アンタ。ヤッちゃんを怪我させたら、トール、ただじゃおかないよ」 かーちゃんは、俺の肩を強くどんと押す。 「当たり前だ!」 俺は、康史を連れて警戒しながら外に出ると、紗南に告げられた近くの空地へと向かった。

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